小腸カプセル内視鏡って何歳からいけるん?

小腸カプセル内視鏡という検査がある。

名前の通り、カメラ付きのカプセルを飲み込んで、小腸の中を写真で見ていく検査である。
胃カメラや大腸カメラと違って、小腸は長くて奥深い。普通の内視鏡では、なかなか全部を見に行けない。

そこで登場するのが、カプセルである。

カプセルを飲む。
あとは腸の動きにまかせて進んでいく。
その間に中からパシャパシャ写真を撮ってくれる。

では、これを子どもにできるのか。

調べてみると、小児でもできるらしい
年齢としては、だいたい2歳以上がひとつの目安になる。PillCam SBは小児では2歳以上で使われる機器として記載されている。

ほんまかいなと思う

ただし、ここで問題になるのは年齢だけではない。

まず、そのカプセルを飲み込めるのかである。

小腸用のカプセルは、だいたい長さ26mm、直径11mmくらいある。
2.6cmである。
「カプセル」と聞くと薬みたいにスッと飲めそうな気がするが、実物はなかなか大きい。PillCam SB系の小腸カプセルは、世代が変わってもおおむね11 × 26mmとされている。

大人でも「これ飲むんか」と思うサイズである。
子どもならなおさらである。

だから実際には、

何歳からできるか
というより、
飲めるかどうか
が大事になる。

もちろん個人差はある。
薬を飲むのが得意な子もいれば、中学生でも錠剤が苦手な子はいる。

飲めない場合はどうするのか。

その場合は、上部内視鏡を使って、カプセルを十二指腸あたりに置いてくる方法もあるらしい
つまり、飲めないから絶対に無理というわけではない。

乳幼児や低年齢児でのカプセル内視鏡使用では、嚥下できない場合に内視鏡的にカプセルを留置する方法が報告されている。

では、小腸カプセル内視鏡はどんな時に使うのか。

たとえば、
原因不明の消化管出血、
鉄欠乏性貧血、
クローン病が疑われる時、
小腸病変を見たい時、
などである。

クローン病なら小腸病変を見たい。
それはわかるが

でも、小児の重症IBDで、病変が小腸だけにきれいに限局していることは、そんなに多いのだろうか。
少なくとも最初から「小腸カプセルだけで勝負」という感じではない。

小児IBDの診断では、基本的には
上から見る。下から見る。組織を取る。小腸も評価する。
この全部を組み合わせる。

ESPGHANのRevised Porto criteriaでも、小児IBD疑いでは、上部消化管内視鏡、回腸まで含めた大腸内視鏡、小腸評価を組み合わせることが推奨されている。小腸評価には、MREやカプセル内視鏡が含まれる。

つまり小腸カプセル内視鏡は、主役というより、
普通の内視鏡で届かない小腸を補う検査
という位置づけに近い。

さらに、クローン病では狭窄があるかもしれない。
そこに26mmのカプセルを流す。
これは少し怖い。

引っかかれば「滞留」になる。
特に消化管狭窄が既知、または疑われる場合は、カプセル滞留が問題になる。そのため、事前に画像検査をしたり、パテンシーカプセルという「本当に通るかどうかを確認するカプセル」を使ったりする。PillCam SB 3の国内製品情報でも、狭窄が既知または疑われる場合には、パテンシーカプセルによる小腸開通性確認について記載されている。

カプセルが体内を旅して写真を撮ってくるとは、医学版の小さな探査機である。

小腸カプセル内視鏡は、たしかに未来っぽい。

そのまま病変に何かできればおもしろうそうだが・・・


参考文献

  1. Zevit N, Shamir R. Wireless Capsule Endoscopy of the Small Intestine in Children. Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition. 2015;60:696-701. PillCam SBは2歳以上の小児で使用可能とされ、より低年齢での報告にも触れている。
  2. Medtronic. PillCam™ SB 3 Indications. PillCam SB 3は小腸病変の検出に用いられ、成人および2歳以上の小児が対象と記載されている。
  3. ECCO Endoscopy e-Guide. Capsule Endoscopy. PillCamのサイズを長さ26mm、幅11mm、重さ3.7gとして記載している。
  4. Kim SH, et al. Capsule Endoscopy: Pitfalls and Approaches to Overcome. Diagnostics. 2021. PillCam SBの第1〜3世代はいずれも11×26mmと記載されている。
  5. Oikawa-Kawamoto M, et al. Safety and utility of capsule endoscopy for infants and young children. World Journal of Gastroenterology. 2013. 乳幼児・低年齢児でのカプセル内視鏡の安全性、有用性、嚥下困難時の内視鏡的留置について述べている。
  6. Levine A, et al. ESPGHAN Revised Porto Criteria for the Diagnosis of Inflammatory Bowel Disease in Children and Adolescents. Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition. 2014. 小児IBD疑いでは、上部消化管内視鏡、回腸まで含めた大腸内視鏡、小腸評価を推奨している。
  7. Medtronic Japan. PillCam™ SB 3 カプセル内視鏡システム. 狭窄が既知または疑われる場合、PillCamパテンシーカプセルを用いた小腸開通性確認について記載している。

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