アレルギー検査ではカビ(真菌)に対する特異的IgEも測定できる。ただし、一般的なアレルギー診療では、ダニ・花粉・動物などに比べてカビをルーチンに調べる機会はそれほど多くない。
代表的なカビには以下がある。
アルテルナリア(Alternaria)
主に屋外に存在し、土壌、植物、枯葉などに多い。胞子が空気中を飛散し、鼻炎や喘息の原因となる。
カビの中では特に喘息との関連が知られており、小児でも重要な真菌アレルゲンの一つ。「カビへの感作」を調べる場合の代表的な項目と考えられる。
アスペルギルス(Aspergillus)
屋内外に広く存在し、土壌、ほこり、腐敗した植物、湿った環境などにみられる。
通常のアレルギー性鼻炎・喘息のアレルゲンになることもあるが、特に重要なのが**ABPA(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)**である。
単にAspergillus特異的IgEが陽性というだけなら「感作」であり、ABPAではない。
ABPAではAspergillusに対する強い免疫反応によって実際に気管支・肺に病変が生じる。難治性喘息、著明な総IgE上昇、好酸球増多、粘液栓、肺浸潤影、気管支拡張などがあれば疑う。
つまり、
Aspergillus感作
= Aspergillusに対するIgEを持っている状態
→ 無症状の場合もあり、治療は基本的に喘息・鼻炎の通常治療や環境調整。
ABPA
= Aspergillusに対するアレルギー反応によって肺・気管支に病変を生じている疾患
→ 全身ステロイドを中心に、抗真菌薬や生物学的製剤などを検討することがある。
「感作」と「疾患」は別物である。
クラドスポリウム(Cladosporium)
植物や土壌などに存在し、屋外の空気中に多く浮遊しているカビ。室内からも検出される。
吸入することで鼻炎や喘息の原因となることがある。アルテルナリアと同じく屋外真菌として考えると分かりやすい。
ペニシリウム(Penicillium)
湿気のある室内、壁、食品などにみられるカビで、室内真菌への感作を評価する項目の一つ。
鼻炎や喘息の原因になることがある。
結局、カビは調べるべきか?
一般的な鼻炎や喘息でカビ特異的IgEが陽性になっても、対応は多くの場合、
湿気・結露を減らす、換気する、カビを除去するなどの環境調整+喘息・鼻炎の通常治療
となる。
そのため、ダニ・花粉・動物などと比較すると、カビを一律にスクリーニングする臨床的メリットはそれほど大きくない。
一方で、
カビの多い環境で明らかに悪化する場合
他のアレルゲンでは症状を説明できない場合
難治性喘息の場合
ABPAを疑う所見がある場合
などでは検査する意味が出てくる。
特にAspergillusについては、単なる「カビアレルギー検索」というより、ABPAを疑う状況では診断・治療方針を左右する重要な検査になる
カビの特異的IgEは「陽性かどうか」を調べること自体より、陽性だった場合に診療方針が変わるのかを考えて検査することが重要。


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