タンパク質と満腹中枢の関係

前回記事の追加であるが、最近、昼食をタンパク質中心に変えてから、不思議と以前ほどお腹が空かなくなった。

食べる量そのものは、むしろ減っている。

普通に考えれば、たくさん食べれば満腹になり、少なければ早くお腹が空きそうなものだ。

ところが、どうもそう単純ではないらしい。

そもそも「満腹」とは何か?

胃に食べ物が入ると胃壁が伸びる。

その刺激は迷走神経を通って脳へ伝わり、「もう十分食べた」という信号になる。

これは分かりやすい。

しかし、満腹感を決めているのは胃袋の膨らみだけではない。

タンパク質を食べると、消化によって生じたアミノ酸やペプチドが腸管を刺激する。

するとCCK、GLP-1、PYYといった消化管ホルモンが分泌される。

これらは迷走神経や血流を介して脳へ情報を送り、食欲を抑える方向に働く。

つまり、

タンパク質を食べる

腸がそれを感知する

CCK、GLP-1、PYYなどが分泌される

脳に「もう十分」という情報が届く

満腹感が生まれる

という仕組みである。

さらに、これらのホルモンの一部には胃から腸への食物の移動をゆっくりにする作用もある。

だからタンパク質は、単に「胃の中に長くあるから腹持ちがいい」というだけではない。

胃が物理的にいっぱいになる「量の満腹」と、腸から脳へ送られる「情報としての満腹」。

満腹感には、この二つがあるということになる。

そう考えると、最近の自分の感覚にも少し納得がいく。

食事量は減っているのに、それほど空腹ではない。

胃袋いっぱいまで食べなくても、タンパク質を摂ることで、身体の側から「もう十分だ」という信号が出ているのかもしれない。

そして興味深いのは、GLP-1である。

最近では肥満症や糖尿病の治療薬としてGLP-1受容体作動薬が広く知られるようになったが、もともとGLP-1は、食事をしたときに自分たちの腸から分泌されているホルモンである。

薬として利用されるほど強力な仕組みの原型を、人間の身体はもともと持っている。

「腹いっぱい」という感覚は、胃袋だけが決めているのではない。

胃が膨らみ、腸が食べ物の中身を読み取り、それを脳が受け取る。

食欲とは、胃と腸と脳が相談して決めていることになる

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