膵癌について考えていて、以前から少し引っかかっていることがある。
アルコールは慢性膵炎の重要な原因であり、慢性膵炎は膵癌のリスク因子でもある。
であれば、臨床的に「慢性膵炎」と診断されるところまで到達していなくても、その手前で長年にわたって軽微な膵障害を繰り返している人がいるのではないだろうか。という仮説である
飲酒するとアルコールは腸管から吸収され、血液を介して膵臓にも到達する。
膵腺房細胞ではアルコールやその代謝産物によってCa²⁺シグナル異常、ミトコンドリア障害、酸化ストレスなどが生じる。また膵液の性状や膵管環境にも影響する。
もちろん、大部分の人は酒を飲んでも慢性膵炎にはならない。
しかし、ここにはかなり大きな個体差があるのではないかと思っている
同じ量のアルコールを飲んでもほとんど膵障害を起こさない人がいる一方で、少量の飲酒でも膵腺房細胞に微小な障害を繰り返す人がいる。
その差にはアルコール代謝、膵酵素の制御、炎症反応、遺伝的背景などが関係しているのかもしれない。
そう考えると、
飲酒 → 微小な膵障害 → 修復 → 再び障害 → 修復
というサイクルを何十年も繰り返すこと自体が、発癌に適した環境を作っている可能性がある。
必ずしも、
飲酒 → 慢性膵炎 → 膵癌
という目に見える一本道ではなく、
飲酒 → subclinical pancreatic injuryの反復 → 慢性炎症・組織修復・線維化 → PanINなどの発癌過程を促進 → 膵癌
Subclinical pancreatic injuryという表現ににしてみたが、慢性膵炎の経過も取らず下のルートの人もいるのでは
アルコールでの細胞障害の程度は、大酒飲みかどうか関わらず、少量であっても細胞の感受性にもよるのではという仮説


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