「睡眠圧」という言葉を初めて知った。
英語では homeostatic sleep pressure。
日本語では 恒常性睡眠圧 というらしい。
簡単に言うと、起きている時間が長くなるほど、脳にたまっていく「寝たい力」のことである。
朝起きた直後は、睡眠圧は低い。
そこから起きているだけで、少しずつ睡眠圧がたまっていく。
昼にはある程度たまり、夕方にはさらにたまり、夜にはかなり高くなる。
そして寝ることで、その睡眠圧は下がっていく。
まるで「眠気の借金」のようなものだと思った。
脳を使って起きていると、アデノシンという物質がたまってくる。
これが眠気に関係していて、脳に「そろそろ休め」と信号を出す。
コーヒーを飲むと眠気がましになるのは、カフェインがこのアデノシンの働きを一時的にブロックするかららしい。
つまり、コーヒーは睡眠圧を消しているわけではない。
ただ、眠気の信号を一時的に感じにくくしているだけである。
だからカフェインが切れると、隠れていた眠気が一気に出てくる。
昼に眠くなるのも、単に昼ごはんを食べたからではない。
もちろん食後の影響はある。
炭水化物や満腹感も、眠気を増やすことはあると思う。
しかし、それはあくまでブーストである。
人間はそもそも、昼過ぎに眠くなりやすいようにできている。
朝から起きていることで睡眠圧がたまり、さらに体内時計の覚醒ドライブが昼過ぎに少し落ちる。
そこに食事の影響が乗るので、眠くなる。
晩ご飯を食べてもすぐ眠たくならないのに、昼ご飯のあとだけ眠くなるのはなぜかと思っていた。
でも、食事だけが原因ではなかった。
昼過ぎには、もともと眠気の谷がある。
そこに食事が重なるだけだった。
そう考えると、昼に眠くなる自分を責める気がなくなる。
昼寝についても、少し見方が変わった。
30分以上寝てしまうと、脳が深いノンレム睡眠に入りやすくなる。
そうなると、無理やり起きたときに、脳がまだ睡眠モードから抜けきっていない。
その結果、寝起きに強いだるさが出る。
これを 睡眠慣性 というらしい。
たしかに、昼寝したはずなのに、起きたあと余計にしんどいことがある。
あれは寝すぎたせいで、深い睡眠の途中から無理やり戻ってきた状態だったのかもしれない。
一方で、15〜20分くらいの短い昼寝なら、浅い睡眠の段階で起きやすい。
だから起きた直後のぼーっと感が少なく、比較的すぐに仕事モードへ戻れる。
短時間でも、たまっていた睡眠圧を少し抜くことができる。
完全にリセットされるわけではない。
夕方までの眠気がカチッと全部消えるわけでもない。
ただ、午後を乗り切るためには十分なことがある。
つまり昼寝は、怠けではない。
睡眠圧を少し逃がすための、かなり合理的な行為である。
昼に眠くなるのは、意志が弱いからではない。
炭水化物に負けたからでもない。
人間の体の仕様である。
そういうデザインなら、抗えない。
むしろ上手に従った方がいい。
昼の眠気は、敵ではなくサインである。
脳が「少し休め」と言っている。
15分・・・
30分昼寝しよ


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