NYの公営住宅で「カビバスター」みたいな取り組みがあったらしい。
名前だけ聞くと、なんか業者の宣伝みたいだが、内容はけっこう真面目である。
集合住宅のカビをちゃんと見つけて、取り除いて、水漏れや湿気の原因まで対策したところ、喘息の救急受診が減ったという報告である。
喘息というと、どうしても薬の話になりやすい。
吸入ステロイドをちゃんと使えているか。
吸入手技は合っているか。
アレルギーは何か。
ダニか、ハウスダストか、ペットか。
もちろんそれは大事である。
今回の話を聞くと、喘息は気道だけの病気ではなく、家の病気でもあるのかもしれないと思った。
カビというのは、診察室では見えない。
こちらが胸の音を聞いても、SpO2を測っても、処方を見直しても、その家の壁紙の裏までは見えない。
窓の結露。
押し入れの湿気。
浴室の換気不足。
エアコンの中のカビ。
雨漏り。
壁の黒ずみ。
そういうものが毎日の吸入刺激になっているなら、薬だけ増やしても、なかなか良くならないのかもしれない。
風通しのいい木造住宅の方がカビは少ないのだろうか?
たぶん、ある程度はそうだと思う。
昔の家はすきま風もあるし、空気が抜ける。
湿気がこもりにくい。
窓を開ければ風が通る。
そういう家では、カビにとっては少し住みにくい環境なのかもしれない。
ただし、木造だから大丈夫というわけではない。
古い木造でも、雨漏りがあったり、床下が湿っていたり、押し入れに湿気がたまっていたりすれば、当然カビる。
逆に鉄筋コンクリートでも、換気がよくて湿度管理ができていれば、カビは増えにくい。
結局、カビが好きなのは「古い家」ではなく「湿った家」である
カビ対策というと、つい掃除の話になる。
黒くなったところを拭く。
カビ取り剤を使う。
エアコンを掃除する。
でも本当は、その前に水分を断たないといけない。
水漏れを直す。
結露を減らす。
浴室や台所の換気をする。
部屋干しの湿気を逃がす。
押し入れに空気を通す。
濡れた場所をそのままにしない。
これはもう、喘息の治療の一部と言ってもよいのかもしれない。
喘息がなかなか落ち着かない人には、
「家にカビ臭はないですか?」
「窓の結露はありますか?」
「寝室や押し入れに湿気はありませんか?」
「エアコンの掃除はできていますか?」
と聞いてみる価値があるかもしれない
水漏れや湿気はやっぱり大事である


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