医学を勉強していると、まだまだ知らない疾患が多いと感じる。
今回知ったのは「SAPHO症候群(サフォー症候群)」という疾患。
SAPHO症候群は、骨や関節の炎症と皮膚症状を特徴とする、比較的まれな自己炎症性疾患である。
SAPHO症候群とは
SAPHOという名称は、次の5つの頭文字から構成されている。
- S:Synovitis(滑膜炎)
- A:Acne(ざ瘡)
- P:Pustulosis(膿疱症)
- H:Hyperostosis(骨過形成)
- O:Osteitis(骨炎)
これらすべての症状がそろう必要はない。
特に特徴的なのは、掌蹠膿疱症などの皮膚疾患と骨・関節の炎症が関連している点である。
疫学
SAPHO症候群は世界各地で報告されている希少疾患である。
有病率は1万人に1人未満と推定されているが、正確な疫学データは十分に確立されていない。
発症年齢は30〜50歳代が中心であり、男性より女性に多い傾向がある。
日本人115例を解析した報告では、女性81例、男性34例で、平均発症年齢は48.7歳であった。
また、疾患の認知度が低く、症状も多彩なため、診断までに長期間を要する場合がある。
臨床症状
主な症状は骨・関節症状と皮膚症状に分けられる。
骨・関節症状では、胸鎖関節、鎖骨、胸骨周囲などの前胸壁病変が特徴的である。脊椎や仙腸関節にも病変を認めることがある。
皮膚症状としては、掌蹠膿疱症、重症ざ瘡、乾癬などが知られている。
興味深いことに、皮膚症状と骨関節症状が必ずしも同時に出現するわけではない。
診断
特異的な血液検査はなく、臨床症状と画像検査を組み合わせて診断する。
MRIでは骨髄浮腫などの炎症所見、CTでは骨硬化や骨肥厚などを評価できる。
骨シンチグラフィでは、胸鎖関節周囲の集積が雄牛の頭に似て見える「bull’s head sign」が特徴的な所見として知られている。
細菌性骨髄炎や骨腫瘍などの除外も重要である。
治療
治療にはまずNSAIDsが使用されることが多い。
症状が持続する場合には、ビスホスホネート製剤、疾患修飾性抗リウマチ薬、生物学的製剤などが検討される。
ただし、希少疾患であることもあり、確立された標準治療はまだ存在しない。
感想
皮膚疾患と骨炎が一つの疾患として関連しているという点が興味深い。
特に胸鎖関節周囲の骨炎と掌蹠膿疱症の組み合わせは、知っていなければ診断につながりにくいと思う。
医学には、まだまだ自分の知らない疾患が存在する。
一つずつ知識を増やしていきたい。
参考文献
- Current and future advances in practice: SAPHO syndrome and chronic non-bacterial osteitis (CNO).Rheumatology, 2024.
- Assessment of clinical and radiological characteristics of Japanese patients with SAPHO syndrome. 2024.
- Treatment and monitoring of SAPHO syndrome: a systematic review. Rheumatology, 2023.


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