最近、起立性調節障害(OD)の薬について調べていて、**アメジニウム(リズミック®)**という薬が気になった。
アメジニウムは昇圧薬で、ノルアドレナリンの再取り込みや不活化を抑えることで交感神経作用を強め、血圧を上げる薬。起立性低血圧などに使われている。
ただ、ODに対して「血圧が低いからアメジニウム」というほど単純ではないらしい。
ODの考え方が変わってきている
2025年に『小児起立性調節障害診療ガイドライン 改訂第3版』が出た。
ODを大きく分けると、
- INOH(起立直後性低血圧):立った直後に血圧が下がり、回復が遅い
- POTS:血圧はそれほど下がらないのに、立つと心拍数が大きく増える
- DeOH(遷延性起立性低血圧):立って数分してから徐々に血圧が下がる
- VVS(血管迷走神経性失神):長時間立位などをきっかけに血圧低下や徐脈が起こり失神する
というように、同じ「立つとしんどい」でも血行動態はかなり違うことがわかる
つまり、ODという診断名だけで薬を選ぶのではなく、その子が立った時に何が起きているのかを見るという方向になっている。
能動的起立試験は重要
そこで重要になるのが能動的起立試験。
やり方は意外と簡単で、
10分程度臥位 → 自分で立つ → 10分間HR・BP・症状を観察
する。
例えば、
- 立った直後に血圧が大きく低下 → INOHを考える
- 血圧は維持されるがHRが大きく上昇 → POTSを考える
- 数分経ってから血圧が低下 → DeOHを考える
という具合。
海外でよく行われるhead-up tilt test(HUTT)はベッド自体を60~70°程度起こすため、筋ポンプをほとんど使わずに起立負荷をかけられる。
できる施設は結構限られている
一方、能動的起立試験は実際に自分で立つので、日常生活の「立ち上がった時」を再現しやすい。
特にINOHは起立直後の短時間に血圧が下がるため、日本では能動的起立試験が重視されている。
アメジニウムに戻る
こうやってODを病型別に考えると、アメジニウムの使いどころが少し難しい理由が分かる。
現在のOD診療では、まず
水分・塩分摂取、睡眠、運動、生活リズムの調整
が基本。
それでも症状が強い場合に薬物治療を考え、昇圧薬としてはミドドリンが中心になる。
ミドドリンはα1受容体を刺激して末梢血管を収縮させるので、
立位 → 下肢への血液貯留 → 静脈還流低下
という病態に対して作用が分かりやすい。
一方のアメジニウムはノルアドレナリン作用を増強して血圧を上げる薬なので、起立性低血圧には理屈が通るものの、例えば血圧は正常で頻脈だけが強いPOTSに一律に使えばよいわけではない。
「ODだから昇圧薬」ではなく、
この子はなぜ立つとしんどいのか?
を考えて薬を選ぶ必要がある。


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