起立性低血圧、あるいは起立性調節障害の診療は、血圧や脈拍だけ見て終わるものではない。
もちろん、起立試験をして、血圧が下がるのか、脈拍が上がるのか、失神反射が主体なのかを確認する。水分、塩分、運動、睡眠、必要ならミドドリンなどを使う。
ここまでは教科書通りである。
しかし実際の外来には、それだけでは説明できない随伴症状を伴う
朝起きられない。頭痛や腹痛がある。
学校へ行こうとすると症状が強くなる。昼からは少し元気になる。不安が強く、昼夜逆転し、長く休んだことで体力も落ちている。
本人も家族も「体の病気なのか、気持ちの問題なのか」と迷っている。
おそらく答えは、その両方である。
むしろそれがかなり密接に繋がる
自律神経の不調が最初にあり、そこへ睡眠の乱れ、運動不足、学校でのストレス、不安、親子関係などが重なり、症状が固定されていく。
人によって、ストレス時の神経の活性というかレスポンスはかなり違う
これも大事
身体症状は本物だが、薬だけでは元に戻らない。
かといって、最初から「心の問題」と言ってしまうと、本人も家族も納得しない。
「怠けではない。でも、休み続けるだけでも治らない」
この説明が一番大事なのだと思う。
治療の目標も、症状を完全にゼロにすることではなく、症状があっても少しずつ生活を戻していくことになる。決まった時間に起きる。朝に光を浴びる。ベッドから出る。短時間だけ外へ出る。
午後からでも学校へ行く。
全部できるか、全くできないか、という二択にすると、
漢方も使われる。柴胡桂枝湯、半夏白朮天麻湯、補中益気湯、小建中湯、苓桂朮甘湯などである。ただし、起立性調節障害そのものに対する強いエビデンスがあるわけではない。
頭痛、腹痛、めまい、不安、食欲低下、倦怠感など、それぞれの症状を少し和らげ、生活を立て直すきっかけとして使う薬なのだろう。
西洋薬も同じで、ミドドリンで血圧を上げても、不登校や不安、昼夜逆転まで治るわけではない。身体への治療と、生活への介入と、心理的な支援を並行して行う必要がある。
起立性調節障害は、身体疾患か心身症か、どちらかに分類する病気ではない。
身体から始まり、心と生活を巻き込み、また身体症状を強くする。
起立性低血圧の管理は非常に難しいと日々感じる


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