若年男性の検診でV1・V2 QSパターンだった時の鑑別を考えてみる

健診で、ときどきV1・V2にQSパターンを認める若年男性に遭遇する。

症状はなく、身体所見も正常というケースは珍しくない。このような症例を見たとき、自分なら何を考えるかを整理してみる。

まず最初に考えるのは、本当に異常なのかという点である。

V1・V2は胸部誘導の中でも電極位置の影響を最も受けやすい。第4肋間より高位に装着されるだけでR波が小さくなり、QSパターンを呈することがある。したがって、まずは正しい位置で心電図を取り直すことが重要である。

次に考えるのは正常変異である。若年者ややせ型では、心臓の位置や回転の影響もあり、V1・V2のみQS様となることがある。V3以降でR波が正常に増高し、ST-T異常がなく、QRS幅も正常であれば、正常変異である可能性は高い。

もちろん、器質的心疾患も頭には置いておく必要がある。

心エコーは施工する方が無難か

最も気になるのは心筋症である。肥大型心筋症、左室心筋緻密化障害、拡張型心筋症などでは異常Q波を認めることがある。しかし、これらの疾患では心電図の異常だけでなく、心エコーで左室肥大、壁運動異常、左室機能低下、特徴的な形態異常などを伴うことが多い。

V1・V2のQSだけが唯一の所見ということはあまり多くない。

心筋炎後や心筋線維化も鑑別には挙がるが、若年男性で症状もなく、心エコーも正常という状況では可能性は低い。

Brugada症候群もV1・V2をみる疾患として思い浮かぶが、問題となるのはQSではなく特徴的なST上昇である。

実際の診療では、

  • V1・V2のみQS
  • V3以降のR波増高は正常
  • ST-T異常なし
  • 症状なし
  • 家族歴なし
  • 心エコー正常

という条件がそろえば、追加検査までは行わず経過観察とすることが多いだろう。。

結局のところ、V1・V2のQSだけを見て心筋症を強く疑うのではなく、「正常変異なのか、電極位置の問題なのか、それとも本当に病的な所見なのか」を一つずつ丁寧に確認していくことが大切と思う。

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