前回は、肺血栓塞栓症(PE)で認められる特徴的な心電図所見であるS1Q3T3パターンについて紹介した。
今回は、心エコーで認められる特徴的な所見、**McConnell兆候(McConnell’s sign)**についてまとめてみたい。
McConnell兆候とは?
McConnell兆候は、1996年にMcConnellらによって報告された、急性肺塞栓症に関連する右室壁運動異常である。
心エコーの心尖部四腔断面で観察され、次のような特徴を示す。
- 右室自由壁の中部では収縮が低下する。
- 一方、右室心尖部の収縮は比較的保たれる。
つまり、右室の自由壁は動きが悪いのに、心尖部だけは比較的よく動いているという所見である。
急性肺塞栓症では、肺動脈が血栓によって閉塞することで肺血管抵抗が急激に上昇し、右室に強い圧負荷がかかる。その結果、右室拡大や収縮機能低下が生じる。
McConnell兆候は、このような急性右室負荷に関連して認められる特徴的な壁運動パターンである。
肺塞栓症に特異的なのか?
McConnell兆候は、肺塞栓症を疑ううえで有用な所見である。
メタ解析では、急性肺塞栓症に対する感度は約22%、特異度は約97%と報告されている。
つまり、McConnell兆候があれば肺塞栓症を強く疑うが、認められないからといって肺塞栓症を否定することはできない。
また、右室梗塞でも同様の壁運動異常が認められるため、肺塞栓症に完全に特異的な所見ではないことにも注意が必要である。
心エコーでほかに確認したい所見
肺塞栓症を疑った場合、McConnell兆候だけでなく、以下の所見も確認したい。
- 右室拡大(RV/LV径比の増大)
- 心室中隔の扁平化(D-shape)
- 三尖弁逆流速度の上昇
- TAPSEの低下
- 下大静脈の拡大と呼吸性変動の低下
これらを組み合わせることで、右室負荷の程度を総合的に評価することができる。
ただし、心エコー所見だけで肺塞栓症を確定できるわけではなく、血行動態が安定していればCT肺動脈造影などによる評価が基本となる。
おわりに
前回紹介したS1Q3T3パターンも、今回のMcConnell兆候も、肺塞栓症で必ず認められる所見ではない。
しかし、いずれも知っておくことで肺塞栓症を疑うきっかけとなる。
心電図ではS1Q3T3、心エコーではMcConnell兆候。
こうした特徴的な所見を一つずつ覚えておくことが、日常診療で肺塞栓症を見逃さないための助けになるのではないだろうか。
参考文献
- McConnell MV, et al. Regional right ventricular dysfunction detected by echocardiography in acute pulmonary embolism. Am J Cardiol. 1996;78:469–473.
- Fields JM, et al. Transthoracic echocardiography for diagnosing pulmonary embolism: a systematic review and meta-analysis. J Am Soc Echocardiogr. 2017;30:714–723.e4.


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