体温が少し上がるだけで、視力低下や筋力低下などの神経症状が一時的に悪化するという現象。
体温上昇によって症状が悪化する疾患って、意外と限られている気がする。Brugada症候群で発熱によって心電図変化が顕在化したり、不整脈が誘発されたりするのは有名やけど。
Uhthoff現象の機序は、脱髄による神経伝導の安全率の低下にあるらしい。
正常な有髄神経では多少体温が上昇しても神経伝導は維持されるけど、脱髄した神経ではもともと伝導の余裕が少ない。そこに体温上昇によるNa⁺チャネルの不活性化の促進などが加わると、活動電位を十分に伝えられなくなり、伝導ブロックが起こる。
面白いのは、体温が元に戻れば神経症状も改善すること。新しい脱髄病変ができたわけではなく、既存の病変で一時的に神経伝導が障害されているだけなんよね。
Brugada症候群でも温度依存性のNa⁺チャネル機能変化が重要になるけど、MSでは脱髄によって伝導の安全率が低下していることが本質的な違い。
同じ体温上昇でも、心臓では不整脈、神経では伝導ブロックという異なる現象が起こる。
こう考えると、体温って単に代謝を左右するだけじゃなくて、電気的な興奮伝導そのものにも影響しているんやなと思う。


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