フシジンレオ・アクアチム・ゲンタシン軟膏の違いは?外用抗菌薬の使い分けとMRSAへの効果

前回はフシジンレオとダラシンTゲルの話であったが、今回は別である

皮膚感染症に使用する外用抗菌薬として、フシジンレオ軟膏、アクアチム軟膏、ゲンタシン軟膏がある。

いずれも細菌感染症に使用される薬剤だが、抗菌スペクトラムや作用機序には違いがある。

特に気になるのは、黄色ブドウ球菌やMRSAに対してどの薬剤が有効なのかという点である。

今回は、この3種類の外用抗菌薬について整理してみたい。

1. それぞれの抗菌薬の特徴

薬剤有効成分分類主な特徴
フシジンレオ軟膏2%フシジン酸ナトリウムフシジン酸系ブドウ球菌に特化
アクアチム軟膏1%ナジフロキサシンニューキノロン系ブドウ球菌・アクネ菌に活性
ゲンタシン軟膏0.1%ゲンタマイシンアミノグリコシド系グラム陽性菌・陰性菌に比較的広い抗菌スペクトラム

まず大きな違いは、抗菌スペクトラムである。

フシジンレオはブドウ球菌を中心とした薬剤であり、ゲンタシンはグラム陰性菌まで幅広くカバーする。

アクアチムはその中間というより、ブドウ球菌やアクネ菌に特徴を持つニューキノロン系外用薬と考える方が正確である。

2. フシジンレオ軟膏

フシジン酸ナトリウムを有効成分とする抗菌薬である。

細菌のタンパク質合成を阻害し、主にブドウ球菌に対して抗菌活性を示す。

適応症は表在性・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷や熱傷、手術創などの二次感染である。

特徴的なのは、黄色ブドウ球菌を標的とした外用抗菌薬である点。

そのため、限局したブドウ球菌性の伝染性膿痂疹(とびひ)や毛嚢炎などで選択肢となる。

一方で、溶連菌やグラム陰性菌による感染症まで幅広くカバーする目的には適していない。

また、フシジン酸耐性菌が存在することにも注意が必要である。

3. アクアチム軟膏

アクアチム軟膏の有効成分はナジフロキサシンである。

ニューキノロン系抗菌薬であり、細菌のDNAジャイレースに作用してDNA複製を阻害する。

適応菌種は感性のあるブドウ球菌属とアクネ菌で、適応症は表在性・深在性皮膚感染症である。

興味深いのはMRSAに対する作用である。

添付文書には、ナジフロキサシンがMRSAに対してもMSSAと同様に強い抗菌活性を示したというin vitroのデータが記載されている。

さらに、一部のキノロン耐性MRSAに対しても抗菌活性が認められたとされている。

これは試験管内での結果であり、現在のすべてのMRSA感染症に臨床的効果が保証されるという意味ではない。

また、アクアチムには軟膏、クリーム、ローションという剤形があるが、適応症は同一ではない。

例えばアクアチムローションは尋常性ざ瘡が適応であり、軟膏とは使い分ける必要がある。

4. ゲンタシン軟膏

ゲンタシン軟膏の有効成分はゲンタマイシンである。

アミノグリコシド系抗菌薬で、細菌のタンパク質合成を阻害する。

特徴は、ブドウ球菌だけでなくグラム陰性菌にも抗菌活性を示すことである。

添付文書上の適応菌種には、ブドウ球菌属、レンサ球菌属(一部を除く)、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、緑膿菌などが含まれる。

そのため、びらん・潰瘍の二次感染などで、原因菌に応じて使用される。

ただし、抗菌スペクトラムが広いことと、実際の皮膚感染症に対して優れていることは同じではない。

黄色ブドウ球菌にはゲンタマイシン耐性株が存在し、MRSAに対しても有効性は一定ではない。

また、長期間の連用は耐性菌や接触皮膚炎などの問題があるため避ける必要がある。

5. MRSAにはどの薬剤が有効なのか?

3剤とも、一部のMRSAに抗菌活性を示す可能性がある。

しかし、重要なのはそれぞれの耐性状況である。

薬剤MRSAへの考え方
フシジンレオ感受性のあるMRSAには有効な可能性がある
アクアチム添付文書にMRSAへの強いin vitro抗菌活性の記載がある
ゲンタシン感受性のあるMRSAには作用するが、耐性株も存在する

ここで注意したいのは、アクアチムの添付文書にMRSAに対する強い抗菌活性が記載されているからといって、MRSA感染症の治療に最も適していると結論づけることはできない点である。

フシジンレオの方が使ってるんちゃうかな?そもそも培養出る前に大概使ってるしな・・・

薬剤ごとのMRSAに対する臨床効果を直接比較した十分なデータがあるわけではない。

したがって、MRSA感染症が疑われる場合には、培養・薬剤感受性検査や感染の重症度を踏まえて治療を判断する必要がある。

まとめ

フシジンレオ、アクアチム、ゲンタシンは、同じ外用抗菌薬でありながら、それぞれ特徴が異なる。

フシジンレオはブドウ球菌に特化した薬剤、アクアチムはブドウ球菌やアクネ菌に抗菌活性を持つニューキノロン系薬剤、ゲンタシンはグラム陰性菌も含む比較的広い抗菌スペクトラムを持つ薬剤である。

MRSAへの抗菌活性は3剤とも感受性に左右され、いずれかが一律に優れているとはいえない。

これまで外用抗菌薬の違いをあまり意識していなかったが、比較してみると意外に特徴が異なることが分かった。

単純に抗菌スペクトラムの広さで選ぶのではなく、原因菌と病態を考えて使い分けることが重要

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