EV-D68(Enterovirus D68)に関連する急性弛緩性脊髄炎(acute flaccid myelitis:AFM)について

今日は、EV-D68(Enterovirus D68)に関連する急性弛緩性脊髄炎(acute flaccid myelitis:AFM)について整理した。

AFMの診断はなかなか難しい。典型的には、発熱や咳、鼻汁などの呼吸器感染症状が先行し、その数日後に急性の弛緩性筋力低下を認める。

この「急性の非対称性・弛緩性筋力低下」という表現が重要である。

「急性」とは、数時間〜数日という比較的短期間で筋力が低下すること。

「非対称性」とは、左右均等に麻痺するのではなく、「右腕だけ上がらない」「片脚だけ引きずる」など、左右差が目立つことをいう。

典型的に左右対称性の筋力低下をきたすGuillain-Barré症候群(GBS)との鑑別点の一つになる。

そして「弛緩性」とは、手足が突っ張るのではなく、力が入らずダランとする状態である。筋緊張は低下し、腱反射も低下〜消失する。

小児では本人が「筋力が落ちた」と訴えるとは限らない。そのため、

「急に片腕を使わなくなった」
「おもちゃを持てなくなった」
「腕が上がらない」
「片脚を引きずる」
「急に歩けなくなった」

といった訴えとして現れる可能性がある。

AFMでは脊髄前角を中心とした灰白質が障害されるため、感覚障害よりも運動障害が前面に出やすい。「しびれて動かない」というより、「感覚は比較的保たれているのに力が入らない」というイメージである。

診断では脊髄MRIが重要で、灰白質、特に前角を中心とする病変が手掛かりになる。

一方で、EV-D68そのものを原因として証明するのは難しい。髄液からEV-D68が検出されることはまれで、むしろ鼻咽頭などの呼吸器検体から検出されることが多い。

したがって、

先行する呼吸器感染 → 急性・非対称性の弛緩性麻痺 → 脊髄MRIで灰白質病変

という流れを見たときにAFMを疑い、早い段階で呼吸器検体を採取することが重要になる。

日々、症例報告に目を通さなあかんな

コメント

タイトルとURLをコピーしました