エタノールロックと血中アルコール濃度

今日は「エタノールロック療法」について思い出した。

長期留置している中心静脈カテーテルに感染が起こったとき、70%程度のエタノールをカテーテルの内腔に満たして、数時間置いておく方法である。

エタノールによって細菌や真菌、バイオフィルムを処理し、カテーテルを温存できる可能性がある。

もちろん全身の抗菌薬治療とは別で、ロック終了後のエタノールは基本的に吸引して捨てる。

そこで、「エタノールでウイルスも不活化できるなら、血中アルコール濃度が高ければ、体内のウイルスにも効くのだろうか」とふと思った。

しかし、濃度の桁がまったく違う。

手指消毒やエタノールロックに使うエタノールは、およそ70%。

一方、血中アルコール濃度は0.1%程度でも明らかに酔い、0.3〜0.4%になると昏睡や死亡の危険がある。

人間にとって致死的な濃度まで上がっても、消毒に必要な濃度の150分の1程度にしかならない。

つまり、飲酒によって体内をアルコール消毒することは不可能であり、ウイルスが死ぬよりはるか前に人間の方が危険になる。

エタノールロックが成立するのは、血液中のアルコール濃度を上げる治療ではなく、カテーテルの内腔というごく限られた空間だけを、一時的に70%エタノールにさらす方法だからである。

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