WHOでは、いわゆる離乳食を complementary feeding(補完食) と表現する。
「離乳」と「補完」では出発点が違う
日本でいう「離乳」は、母乳や育児用ミルクなどの乳汁栄養から、幼児食へ移行していく過程を指す。
そのため離乳食には、栄養を摂るだけではなく、
「飲む」から「噛んで食べる」へ移行する
という摂食機能の発達という意味合いが強い。
一方、WHOの complementary feeding は少し発想が違う。
生後6か月頃になると、母乳だけでは乳児のエネルギーや栄養素の必要量をすべて満たすことが難しくなる。
そこで、
「母乳をやめる」のではなく、「母乳では足りなくなった栄養を食事で補完する」
という考え方になる。
| 日本の「離乳食」 | WHOの「補完食」 | |
|---|---|---|
| 基本的な発想 | 乳汁栄養から食事への移行 | 乳汁栄養で不足する栄養を補う |
| イメージ | 乳 → 食事 | 乳 + 食事 |
| 開始時期 | 生後5〜6か月頃 | 生後6か月頃 |
| 重視する点 | 摂食・咀嚼機能、食形態、食事への移行 | エネルギー・鉄・亜鉛などの栄養充足 |
| 母乳・ミルク | 食事の割合が徐々に増える | 継続しながら補完食を追加する |
| 食品の考え方 | おかゆなどから段階的に食品を増やすイメージが強い | 栄養密度と食品の多様性を重視 |
| 動物性食品 | 少量から段階的に導入 | 肉・魚・卵なども重要な栄養源 |
| 最終的な方向 | 幼児食へ移行 | 家族の食事へ近づけていく |
日本の離乳食初期って、結構おかゆ中心
この違いを知ってから日本の離乳食を見ると、
典型的には、
おかゆ → 野菜 → 豆腐・白身魚・卵など
という感じで進んでいく。
もちろん食べる練習としては非常に分かりやすい。
ただ、開始直後はどうしても炭水化物中心になり、タンパク質や鉄などの供給が少なくなりやすい。
特に重要なのが鉄。
生後6か月頃になると胎児期から蓄えていた鉄が減ってくる一方、母乳だけでは必要な鉄を十分に補うことが難しくなってくる。
生理的貧血のまま、そのまま少しHb低い子とかよくいてる
補完食という考え方に立つと、
「まず10倍がゆを食べられるようにしよう」
というだけではなく、
「この時期に母乳だけでは足りなくなる栄養素を、何で補うのか?」
という視点になる。
そのため、肉、魚、卵などの動物性食品を含め、鉄や亜鉛などを含む栄養密度の高い食品や、多様な食品を取り入れることが重要になる。
「離乳」より「補完」と考えると見え方が変わる
実際には、現在の日本の離乳食とWHOの補完食は大きく対立するものではない。
日本の離乳食でも母乳やミルクを急にやめるわけではないし、鉄を含む食品やさまざまな食品を取り入れることは推奨されている。
それでも、
離乳食=「乳から食事へ移行する」
と考えるのと、
補完食=「乳を続けながら、不足する栄養を食事で補う」
と考えるのでは、食事を見る視点が少し変わる。


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