「境界知能は13.6%」の意味を勘違いしていた

「境界知能の人は人口の13.6%いる」という話を聞いたことがある。

13.6%というと、7〜8人に1人。30人のクラスなら4人くらいいる計算になる。

かなり多いなと思っていたのだが、よく考えると、この13.6%という数字は、大規模な疫学調査をして「実際に13.6%いました」と判明した数字ではない

IQの分布から出てくる理論値だった。

一般的なIQは、

  • 平均:100
  • 標準偏差(SD):15

となるように標準化されている。

昔から境界知能(borderline intellectual functioning)とされてきた範囲は、おおむねIQ 70〜84。これはちょうど平均から−2SD〜−1SDの範囲にあたる。

正規分布では、この−2SD〜−1SDの間に入る割合が**約13.6%**になる。

実際、境界知能についてのレビューでも「IQのみを基準にすれば、正規分布の性質から理論上13.6%になる」と説明されている。

つまり、

「調査したら13.6%も境界知能の人がいた」

というより、

「IQ 70〜84を境界域と定義すると、正規分布上そこに13.6%が入る」

という話。

考えてみれば、かなり意味が違う。

しかも現在は、IQの数字だけでその人の生活上の困難さを判断するわけではない。適応機能なども重要なので、「人口の13.6%が実際に支援を必要とする境界知能である」と単純には言えない

ある論文のレビューでも、適応機能などを考慮すると実際に該当する割合は理論値より低くなる可能性が指摘されている。

「境界知能は13.6%」という数字だけを見ると驚くけれど、その13.6%がどこから出てきた数字なのかを知ると、ずいぶん印象が変わる。

統計からのあくまでも推定値である

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