「アマニ油やで、これからは。絶対摂ったほうがええで」
数年前、そう意気揚々と語る知人がいた
健康志向が強く、意識の高さが服を着て歩いているような男だ
医師として脂肪酸の構造こそ知っていたものの、当時の私は糖質制限に夢中だったので、脂質には見向きもしなかった
「糖質さえ抑えれば、脂質は何を摂っても構わない」
糖質制限原理主義者である
かなり厳格にしていたので、確かに痩せた
今はその頃の面影はないwww
極端な思考の渦中にいた私にとって、油の細かな種類など些細な問題だった。
知人の熱弁に対しても「へぇ、いいですね」と口では合わせてはいたが、心には響いていなかった
ところが、人生とは面白い
あれから時が経ち、健康管理の解像度が上がってきた私の前に、突如として現れたのが、あの時のアマニ油だった
そして今、アマニ油を使用している・・・

アマニ油とはなんなのか?
アマニ(亜麻仁)」とは、その名の通り「亜麻(アマ)」という植物の「仁(種子)」のことだ
古くから繊維(リネン)として利用されてきた植物だが、その種子から搾り取られる油には、驚くべき栄養素が凝縮されている
最大の特徴は、植物油の中では群を抜いて高い「α-リノレン酸」の含有率だ
これは、体内で作り出すことができない「必須脂肪酸」であり、摂取されると体内でDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)へと変換される。
ただし、その変換効率は高くないため、青魚に含まれるEPA・DHAそのものをそのまま置き換えるわけではない。
脂質の「質」を見極める戦略
医師として改めて脂質の生化学を俯瞰したとき、そこには無視できない役割分担が存在する。
オメガ9(オレイン酸):オリーブオイルなど 酸化に強く、加熱調理においても安定している「守りの油」。日常の調理ベースとして欠かせない。
オメガ6(リノール酸):サラダ油、大豆油など 必須脂肪酸ではあるが、現代社会ではすでに過剰気味。「満ち足りた油」であり、あえて追加する必要性は低い。
オメガ3(-リノレン酸):アマニ油、えごま油 炎症を抑え、血液や脳の機能を支える「整える油」。熱に弱く、意識して「生」で摂らなければ手に入らない、現代人に最も不足しているピースだ。
かつての私は、糖質を抑えることに必死で、このオイルごとの使い分けまで頭が回っていなかった。
なぜ、私たちの周りはオメガ6ばかりなのか?
脂質を見直す過程で、一つの疑問にぶつかる。なぜ、意識せずとも現代人の食卓はオメガ6(リノール酸など)ばかりが溢れているのか?
そこには「コスト」と「歴史」という二つの背景があるようだ
まず、圧倒的な経済性だ。大豆やトウモロコシといったオメガ6の原料は大規模な機械化栽培が可能で、極めて安価に大量生産できる。
さらに酸化しにくく保存性が高いため、外食や加工食品、スナック菓子の原材料として「安くて便利な油」の地位を不動のものにした。
加熱に強いというのも大事なポイントである
もう一つは、かつての健康神話の影響である。
「動物性脂質は悪、植物性油こそが健康的」とされた時代、安価な植物油が推奨され、バターがマーガリンに、ラードがサラダ油に置き換わった。
現代になって判明したのは「植物油なら何でもいい」わけではなく、その「バランス」が重要だということ。かつての正義が、現代においては「オメガ6過剰」という新たな課題を生んでしまったのである・・・
終わりに
「アマニ油やで」
あの日の知人の言葉が、数年の時を経て、ようやく私の心に届いた。
奇しくも、今の私はあの時の彼と同じくらいの年齢になっている。
人生とは、こうして必要な知識と「再会」するプロセスの連続なのかもしれないとしみじみと思った
今、あの知人はさらなる健康の最前線にいるのだろうか・・・
以上参考になれば幸いです

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