外来で動悸、胸部不快感、失神前症状を訴える場合は、診察時にはすでに症状が消失しており、通常の12誘導心電図で異常を捉えられないことが少なくない。
発作頻度が低い症例や、ホルター心電図を装着してもイベント時の記録が得られにくい症例では、発作時自己記録可能な携帯型心電計の有用性は高い。
診療報酬上は、D208 心電図検査のうち「携帯型発作時心電図記憶伝送装置使用心電図検査」150点として整理されている。
留意事項通知では、入院中以外の患者に対し、携帯型発作時心電図記憶伝送装置を用いて発作時等の心電図を記録させた場合に、一連につき1回算定するとされている。したがって、本検査は自由診療ではなく、要件を満たせば保険診療として請求可能である。
実務上のポイントは、単に機器を貸与するだけではなく、医療機関として記録取得を指示し、後日その記録を確認・判読する一連の検査として運用することである。
通知上も「一連につき1回」であり、記録回数ごとに追加算定する建て付けではない。また、別建ての解析料を算定する明確な根拠は見当たらず、基本的には記録回収・確認・判読を含めて150点の評価と理解するのが妥当である。
クリニック運用としては、患者家族ごとのスマートフォン設定に依存すると手間が増えるため、院内確認用の専用端末を1台固定する方法が実際的と考えられる。
症状時記録を取得し、再診時あるいは院内で波形確認、必要に応じてPDF保存という流れであれば、業務負荷は比較的軽い。個人スマートフォンの使用は個人情報管理の観点から避け、院内専用端末と保存ルールを統一する方が望ましい。これは診療報酬上の要件というより、運用上の安全性の問題である。
適応としては、発作性動悸、PSVT疑い、失神前症状、胸部不快感
通常の12誘導心電図との併用については、受診時評価としての通常ECGと、発作時捕捉目的としての携帯型記録の目的をカルテ上で明確に分けることが重要である。
採算面では、150点は1,500円相当である。機器価格が比較的低廉で、外注解析を要さず、スタッフの説明・回収・確認の手間が軽ければ、クリニック外来でも十分運用可能な水準と考えられる。
一方で、本検査単体で大きな収益を期待する性格のものではなく、診断補助ツールとしての価値、すなわち発作時症状の可視化と診療判断の精度向上に重きを置くべきである。
HCG-8060T は一般流通価格で3万円前後の例があり、単純計算では20件前後で本体価格相当となる。
総じて、携帯型心電計は、クリニックにおいて「点数目的の機器」ではなく、「外来で捉えにくい症状を補足するための低負担な検査手段」として位置付けるのが妥当である。


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