2025/5/31追記
緑茶を日常的に飲んでいると、「カテキン入り」などの表記をよく見かけます。正直なところ、医師国家試験にも出ない成分なので、私自身も詳しく知りませんでした。
ただ、何となく「体に良さそう」というイメージだけはある。
そんな思いから、今回は緑茶とカテキンの効能について、文献をもとにしっかり調べてみました。
ちなみに、カテキンのほか、はちみつについても別記事でまとめていますので、興味があればご覧ください →
太りにくい、コレステロールの減量などと書かれていることが多いです。
しかし調べてみると、言われている効果はもっとあります。
感染や、抗腫瘍効果などに効果があると言われています。
最近ではコロナウイルスに対しても、緑茶が効果あるのではと言われています。
緑茶といえば、カテキン、痩せる、というイメージが先行していますが、風邪の予防など免疫にも関係しているんですね。
緑茶、カテキン、そして効能について記載したいと思います。
緑茶とは?基本と種類の違い
緑茶は、発酵を行わずに加工された茶葉から作られるお茶です。お茶には大きく分けて以下の4種類があります:
- 白茶(軽発酵)
- 緑茶(不発酵)
- 烏龍茶(半発酵)
- 紅茶(完全発酵)
この中で緑茶は、もっとも発酵度が低く、新鮮な葉の風味が残るのが特徴です。
カテキンとは? ポリフェノール?
じゃあカテキンって何なん?
カテキンとはポリフェノールの一種です。
カテキンとは、植物が持つポリフェノールの一種で、苦味や渋み、色素などに関与する成分です。緑茶には以下のようなカテキンが含まれています:
- エピカテキン(EC)
- エピカテキンガレート(ECG)
- エピガロカテキン(EGC)
- エピガロカテキンガレート(EGCG)
この中で最も多く含まれるのが EGCG(約60%)で、強力な抗酸化作用を持つとされています。血中濃度のピークは摂取から2時間程度で到達します。
グレートマジンガーではないです。
ポリフェノールとは?
ポリフェノールは、植物に広く含まれる化合物で、植物の色や味、香りに関係しています。これらの化合物は、植物が紫外線や病原体から身を守るために作り出すもので、強い抗酸化作用を持つことが知られています。ポリフェノールは、フラボノイド、タンニン、リグナン、フェノール酸など、多様な構造を持つ幅広い化合物群を指します。
人間がこれらの化合物を食事から摂取することで、抗酸化作用により体内のフリーラジカルを減少させ、細胞の損傷や老化の進行を遅らせる効果が期待されています。また、心臓病や糖尿病、がんなどの慢性疾患のリスクを低減する可能性があるとも言われています。
ポリフェノールは、果物、野菜、お茶、ワイン、チョコレートなど、多くの食品に含まれています。特に、色の濃い果物や野菜、緑茶や紅茶、カカオ含有量の高いダークチョコレートなどが良いポリフェノールの供給源とされています。
カテキンの効能とは? 健康になぜ良い?
- 抗腫瘍作用
- 抗炎症作用
- 抗菌作用
- 抗ウイルス作用
- 抗酸化作用
- 心血管病変
- 糖尿病
- 肥満
- 口腔内衛生
めっちゃ多い。笑
気になった作用はどんな感じなのか調べてみました。
抗腫瘍作用について
カテキンは、緑茶に多く含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化性、抗炎症性、抗腫瘍性など、多くの健康効果が報告されています。カテキンの抗腫瘍作用に関しては、以下のようなメカニズムが研究により示されています。
- 抗酸化作用: カテキンは強力な抗酸化剤として機能し、細胞を損傷から保護することにより、腫瘍の発生を抑制することができます。フリーラジカルを無害化し、DNAの損傷を防ぎます。
- 細胞増殖の抑制: カテキンは、がん細胞の増殖を抑える効果があります。特に、細胞周期を調節することにより、がん細胞の成長を遅らせることが示されています。
- アポトーシスの誘導: カテキンは、がん細胞に対してアポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘導することができるため、腫瘍の成長を抑制する効果があります。
- 血管新生の抑制: 腫瘍の成長と転移には、新たな血管の形成が必要です。カテキンは、この血管新生を抑制することにより、腫瘍の栄養供給を遮断し、成長を抑えることができます。
- 転移の抑制: カテキンは、がん細胞の接着力や移動能力を低下させることにより、転移を抑制する効果があります。(1)
緑茶の風邪・インフルエンザ予防効果とコロナウイルスとの関連
緑茶には、風邪やインフルエンザなどの感染症に対する予防効果があるとされています。その鍵となるのが、抗炎症作用と抗ウイルス作用です。
抗炎症作用による免疫調整
風邪や細菌感染が体内で起こると、免疫システムが反応し「炎症性サイトカイン」を放出します。
これが過剰になると、発熱や疼痛、血液異常などを引き起こすことがあります。
緑茶に含まれるカテキンには、この炎症反応を緩和する「抗炎症作用」があるとされており、体内の過剰な免疫反応を穏やかに整える働きが期待されています。
実証された予防効果:風邪やインフルエンザに関する研究
米国で行われたある臨床研究(Rowe CA ら, 2007年)では、緑茶サプリメントを1日2回、3か月間摂取した成人において、以下のような結果が得られました:
- 風邪やインフルエンザ様症状の発症率が32%減少
- 2日以上続く疾患の頻度が約23%減少
この結果は、日常的に緑茶成分を摂取することで、感染症への抵抗力が高まる可能性を示唆しています。
抗ウイルス作用:ウイルスの侵入・増殖をブロック
緑茶カテキンは、ウイルスの活動にも干渉することが知られています。具体的には:
- ウイルスが宿主細胞に接着・侵入するのを妨げる
- ウイルスRNAやDNAの複製を阻害する
このような作用により、インフルエンザや風邪ウイルスの感染拡大を防ぐ効果が期待されています。
新型コロナウイルスへの可能性
COVID-19の流行初期には、「緑茶や紅茶に含まれるポリフェノールがウイルスに有効ではないか」との報告がいくつか見られました。
特に、以下の文献:
“Antiviral activity of green tea and black tea polyphenols in prophylaxis and treatment of COVID-19: A review”
では、緑茶に含まれるポリフェノールが新型コロナウイルスの感染・複製を抑制する可能性についてレビューされています。
科学的な決定打にはまだ至っていませんが、緑茶の抗ウイルス作用は一定の注目を集めています。もしかすると、アジア諸国で欧米より重症化が少なかった一因に、日常的なお茶の習慣が影響していたのかもしれませんね。笑
緑茶と白湯、どっちが体にいいのか?
そういう論争もあるようなので調べてみました
白湯のメリットと科学的根拠
- 胃腸に優しく、消化を助ける
- 体温を上げて基礎代謝を促進
- カフェインゼロで寝起きの水分補給に最適
- 自律神経を整えるという説(根拠はやや曖昧)
緑茶のメリットとエビデンス
- カテキンによる抗酸化・抗ウイルス作用
- テアニンによるリラックス・集中効果
- カフェインによる軽度の覚醒作用
- 朝の代謝や脂肪燃焼をサポートするという研究も
図にするとこんな感じ
比較項目 | 白湯 | 緑茶 |
---|---|---|
カフェイン | なし | あり(微量〜中等量) |
胃腸への負担 | 非常に少ない | 空腹時に負担ありうる |
抗酸化作用 | ほぼなし | カテキンにより強い |
免疫サポート | 間接的 | 抗ウイルス・抗菌作用あり |
朝におすすめ? | やさしいスタート | 活力を入れたい人向け |
緑茶のまとめ
カテキンは緑茶に含まれるポリフェノールで、多様な健康効果を持つ
抗腫瘍・抗ウイルス・糖尿病予防などの研究報告あり
風邪やインフルエンザの予防にも効果が期待される
緑茶を日常的に飲むことで、免疫力や代謝改善につながるかも
最近ではコロナにも予防的に効くのではとの報告もあります。
以上参考になれば幸いです。
参考文献
C. Subramani and R. et al, “Molecular mechanisms and biological implications of green tea polyphenol, (-)- epigallocatechin-3-gallate,” International Journal of Pharma Bioscience and Technology, vol. 1, no. 2, pp. 54–63, 2013.
P. Chaterjee, et al., “Evaluation of anti- inflammatory effects of green tea and black tea: a comparative in vitro study,” Journal of Advanced Pharmaceutical Technology & Research, vol. 3, no. 2, pp. 136–138, 2012.
Xu, Z. et al., “A review of the antiviral role of green tea catechins,” Molecules, vol. 22, no. 8, Article ID 1337, 2017.
Q.Fu,et al.,“AntidiabeticEffectsofTea,”Molecules, vol. 22, no. 5, p. 849, 2017.
C. A. Rowe, et al , “Specific formulation of Camellia sinensis prevents cold and flu symptoms and enhances gamma, delta T cell function: a randomized, double-blind, placebo-controlled study,” Journal of the American College of Nutrition, vol. 26, no. 5, pp. 445–452, 2007.
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