結核の歴史とBCGワクチンの影響を考える

健康・減量

最近は古い日本の文学や芸術を学習していますが、多くの芸術家が結核により亡くなっています

最近は結核で亡くなる方は周囲におられず、どれくらいのものかなかなか想像がつきにくい

現代でも結核に罹患する人は日本でもいますが、死亡率は激減しています。

B C Gや抗菌薬出現の影響と思いますが、大きな変化と思います

結核で亡くなった日本の著名な画家としては

竹久夢二

  1. 大正時代に活躍した画家であり、特に美人画で有名です。彼は結核のため、50歳で亡くなりました。

村山槐多

  1. 明治末期から大正にかけて活動した天才画家。わずか23歳で結核により早逝しました。

佐伯祐三

  1. 結核による死: 佐伯祐三も結核に苦しみ、パリ滞在中に病状が悪化し、1928年に29歳の若さで亡くなりました。
  2.  

みんなめっちゃ若いんですよね。しかも基礎疾患はなさそう

現代において、基礎疾患のない年齢の人が感染症で死亡することは極めて稀

ウイルス性心筋炎、ウイルスによる脳症とかくらいか・・・

国民病でさらに結核は空気感染することを考えると、その時代は恐怖でしかない・・・

わずか100年で圧倒的な変化だと思います

結核の死亡率の推移

 世界での死亡率の推移です。自作しましたが、だいたいこんな感じです。

歴史から死亡率の推移をまとめてみます

結核の起源と歴史的背景

  • 古代からの結核の存在
    結核は非常に古くから存在しており、古代エジプトのミイラや、古代ギリシャの文献にも結核に関する記述があります。歴史上、結核は「肺病」や「痩せ病」とも呼ばれ、多くの人々の命を奪ってきました。
  • 19世紀の結核流行
    19世紀には結核が世界的に大流行し、特にヨーロッパや日本で多くの人が罹患しました。19世紀末には、結核は「死の病」として恐れられており、作家や芸術家も多く結核に倒れました。
  • 近代日本における結核の流行
    日本でも、明治時代から昭和初期にかけて、結核は国民病と呼ばれるほどの深刻な問題でした。1920年代から1940年代にかけて、結核で亡くなる人が非常に多く、社会全体に大きな影響を与えました。

BCGワクチンの開発と普及

  • BCGワクチンの誕生(1921年)
    1921年に結核予防ワクチンであるBCG(Bacille Calmette-Guérin)が開発されました。このワクチンは、生きた弱毒化した結核菌を使用し、体内で免疫を作ることで結核感染を防ぎます。
  • 日本でのBCGワクチンの導入(1924年)
    日本では、1924年にBCGワクチンが導入されましたが、本格的に全国に普及したのは1951年のことです。この年、BCGワクチンの定期接種が義務化され、特に乳幼児への予防接種が推進されました。
  • BCGワクチンの効果とその役割
    BCGワクチンは、乳幼児における結核の重症化(特に髄膜炎や粟粒結核)を防ぐ効果があるとされています。特に日本では、BCGの普及により、結核による乳幼児の死亡率が大幅に減少しました。

日本の死亡率の推移

  1. 1900年代初頭~1940年代:
    • 結核は「国民病」と呼ばれるほど蔓延しており、結核による死亡率は高く、1930年代には結核で年間10万人近くが死亡。
  2. 1940年代~1950年代:
    • 1947年にストレプトマイシンが日本に導入され、結核の治療が進展。
    • 1951年にはBCGワクチン接種が義務化。
    • 1950年代半ばから結核による死亡率は急速に低下し始めました。
    • 1950年の結核死亡率は約146.4人(人口10万人あたり)でしたが、1960年には約34.8人(人口10万人あたり)にまで減少しています。
  3. 1960年代以降:

1980年頃には、結核による死亡率は1.6人(人口10万人あたり)まで低下しています。

2022年時点でのデータでは、結核の罹患率は人口10万人あたり約10人と報告されています。

現代の死亡率との比較

2022年の死因別の死亡者数

  1. 悪性新生物(がん)
    • 死亡者数:約380,000人
      (全死亡者の約27%)
  2. 心疾患(高血圧性を除く)
    • 死亡者数:約240,000人
      (全死亡者の約15%)
  3. 老衰
    • 死亡者数:約180,000人
      (全死亡者の約11%)
  4. 脳血管疾患(脳卒中など)
    • 死亡者数:約120,000人
      (全死亡者の約8%)
  5. 肺炎
    • 死亡者数:約100,000人
      (全死亡者の約7%)

今の肺炎での死亡数に絶対数は相当します。しかし現代において、肺炎で亡くなるのは大多数が高齢者と思われます。昔は日本の人口も今よりも少なく、結核は年間10万人の死亡者がいたことを考えると、かなりの死亡率だったと推定できますし、若年でも亡くなっていることは大きな違いと思います

現代における結核の状況

  • 結核の現在の発生率
    現代でも結核は根絶されておらず、特にアジアやアフリカの一部の地域では依然として公衆衛生上の問題となっています。日本においても、毎年1万人前後の新規結核患者が報告されていますが、BCGワクチンと適切な治療のおかげで、死亡率は大きく下がりました。
  • 多剤耐性結核の問題
    近年、多剤耐性結核(MDR-TB)という抗結核薬が効かない結核菌の出現が問題となっており、治療が困難なケースも増えています。これに対しては、新しい治療法や薬の開発が進められています。
  • 今後の課題とBCGワクチンの役割
    依然として結核は、特に免疫力が低下した人々に対する脅威であり、今後もBCGワクチンや新たな治療法が必要とされています。高齢者や免疫力が低下している人に対して、予防接種や定期検診が重要な役割を果たします。

結核に罹患して立てなくなっているのは?

よく病床から起き上がれないという記述がありましたが脊椎カリエスを起こしていたと思われます

脊椎カリエスは、結核菌が脊椎の骨や椎間板に感染し、炎症や破壊を引き起こす病気です。この病気が進行すると、脊椎が崩壊し、脊髄を圧迫することで以下のような重篤な症状が現れます。

主な症状

  1. 背中や腰の痛み: 脊椎に感染が広がると、慢性的な痛みが発生します。特に、姿勢を保つことが困難になります。
  2. 運動障害: 感染が進行すると、脊椎が変形し、神経を圧迫することで運動機能が低下し、最終的には歩行困難や下肢の麻痺が生じます。これが「立てなくなる」状態です。
  3. 脊椎後弯症: 脊椎が結核菌により破壊されると、脊椎が前後に湾曲し、「亀背(カメの背中のように背中が曲がる)」という状態になることがあります。

昔の脊椎カリエスの影響

  • 治療の困難さ: 抗結核薬が発見される前(1940年代以前)は、脊椎カリエスの治療法が限られていたため、感染が進行し、立つことや歩くことができなくなるケースが多くありました。
  • 療養所での治療: 脊椎カリエスの患者は長期にわたる安静が求められ、特別な装具をつけて寝たきりでの治療が行われることもありましたが、治療の難易度が高く、治癒することは稀とされています

まとめ

結核は滅多に遭遇することはありませんが、大事な疾患だと思います

結核は長い歴史を持つ病気であり、かつては「死の病」として恐れられていました。しかし、BCGワクチンの導入と抗結核薬の発展により、結核の発症率や死亡率は劇的に低下しました。現代においても結核は完全に根絶されたわけではなく、特に多剤耐性結核や免疫力の低下した人々への影響が課題として残っていますが、BCGワクチンは今後も重要な役割を果たし続けるでしょう。

リスクが高い人は下記のような人ですので注意ください

  • 高齢者: 戦後の結核流行時に感染し、潜在性結核感染となっていた高齢者が、免疫力の低下に伴い発病するケースが増えています。
  • 免疫力が低い人: HIV感染者やがん治療中の患者など、免疫抑制状態にある人は結核の発症リスクが高まります。
  • 糖尿病患者や腎不全患者: 慢性疾患を持つ人も結核にかかりやすい傾向にあります。
  • 生活環境が不安定な人: 例えばホームレスや、外国人労働者が多く住む地域など、医療アクセスが限られている場所でも結核の発症リスクが高いとされています。

改めてBCGワクチンの効果を感じるともに、予防医学の大切さを学びました

以上参考になれば幸いです

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