マルチビタミンの使用と健康に関する論文があったので、マルチビタミン、ビタミンについて考えてみます
論文の詳細は後で記載しますが、論文ではアメリカにおいて、成人の約3人に1人が定期的にマルチビタミンを摂取していると言われています
結構多いですね
厚生労働省が毎年実施している「国民健康・栄養調査」の結果によると、実は日本も3割くらいはマルチビタミンを摂取しているらしいので、年齢層は少し高めですが、同じくらいかもしれません
そもそもマルチビタミンとはなんぞやという所とその他関係することを考えてみます
マルチビタミンについて
マルチビタミンとは、ビタミンを中心とした複数の栄養素を含むサプリメントの総称です
通常、ビタミンA、B群(B1、B2、B6、B12など)、C、D、E、Kなどのビタミンを含み、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛など)も一緒に配合されることが多くあります
これらのサプリメントは、食事から十分に栄養素を摂取できていない場合や、特定の栄養素の補給を目的として利用されることが一般的です
主な効果・用途
- 栄養補給
マルチビタミンは、日々の食生活で不足しがちな栄養素を効率的に補うことができるため、栄養バランスを整える効果があります。特に忙しい日常や偏った食生活をしている人にとって、栄養補助として利用されています - 疲労回復やエネルギー生成のサポート
ビタミンB群はエネルギー代謝に関与しており、体内での糖質や脂質、タンパク質のエネルギー変換を助けることで、疲労回復や持久力向上に効果的とされています - 免疫機能のサポート
ビタミンA、C、D、Eは免疫機能の維持に役立ち、体内の抗酸化作用を高めるとされています。これにより、体内のフリーラジカルを除去し、健康状態を保つこととされます
製品によって含まれるビタミンの種類と量の違い
製品によっては、すべてのビタミンが含まれていない場合や、一部のビタミンやミネラルが高濃度で配合されている場合もあります
ある製品はビタミンA、C、Eを多く含む一方で、ビタミンDの量が少ない、またはまったく含まれていないことがあります
特定の健康状態や目的(例:妊娠中の栄養補給、免疫力向上)に応じて成分が調整された製品も存在します
使用における注意点
含有量が製品によって、違う可能性があり、マルチビタミンの使用は、食事だけでは不足する栄養素を補うことが目的ですが、過剰摂取による健康リスクもあります
特に脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)は体内に蓄積しやすいため、長期的に過剰摂取すると健康被害を引き起こすことがあります
よくよく聞いたら、サプリメントが原因で肝酵素などが上昇し、辞めたら改善するということは多々あります
日本人とアメリカ人で足りてないビタミンに差はあるのか?
1.ビタミンDの不足
日本人とアメリカ人の両方において、ビタミンDの不足は非常に共通した問題です
しかし、その原因や推奨摂取量には違いがあります
日本のビタミンDの1日あたりの推奨摂取量は成人で5.5~8.5μgとされており、アメリカの15-20μg(600IU)と比べて約半分以下です
摂取推奨量に違いがありますね、体格も関係しているかもしれません
2. ビタミンAの不足と過剰
アメリカ人ではビタミンAが不足することがありますが、日本では通常の食事(例えばニンジンやカボチャなど)から十分にビタミンAを摂取できるため、サプリメントとして補う必要はあまりありませんむしろ、日本ではビタミンAの過剰摂取が問題になることがあります
3. ビタミンB群の不足
日本ではビタミンB1やB6の不足が見られやすく、これは加工食品や精製された穀物の摂取が多いことが一因です
アメリカでもビタミンB群が不足することがありますが、日本ほど顕著ではないと言えます
ビタミンB群はエネルギー代謝や神経機能に重要な役割を果たすため、欠乏すると疲労感や神経症状を引き起こすことがあります
理由としては、精製された穀物(例:白米や白パン)では、外皮や胚芽が取り除かれることで、ビタミンB群(特にB1、B6)が失われてしまいます
ビタミンB1は、米や穀物の外層部分(ぬか層)や胚芽に多く含まれているため、精白米に加工される過程でその大部分が失われてしまいます
そのため、白米を主食とする日本では、精製米を摂取することでビタミンB1の摂取量が減少しやすいのです
日本とアメリカのBMIの違い
日本とアメリカの標準BMIには大きな違いがあります。
1. 日本の標準BMI
日本では、BMIが22を「標準体重」として設定しており、これが病気のリスクが最も低いとされる体重範囲です
また、日本肥満学会では、BMIが25以上を「肥満」と定義しています
2. アメリカの標準BMI
アメリカでは、BMIが30以上を「肥満(Obese)」と定義しており、日本の基準よりも高く設定されています。
3. BMIの違いによる健康リスクの見解
アメリカではBMI30以上を肥満とする一方、日本では25以上を肥満とするため、同じ体格であっても日本では肥満とされ、アメリカでは「やや体重が多い」と評価されることがあります
この違いは、肥満や生活習慣病のリスク評価において重要な要素であり、特に日本人ではBMIが25を超えると糖尿病や高血圧などのリスクが急激に増加することが知られています
このように、同じBMIでも日本とアメリカでは健康リスクの評価基準が異なり、それぞれの国の人々の健康状態や体格に合わせて基準が設けられています。
健康的という概念が日本を含めたasiaと欧米では少し違うかもしれません
論文の結果
Multivitamin Use and Mortality Risk in 3 Prospective US Cohortsという論文からです
この研究では、アメリカの3つの大規模なコホート研究データを用いて、マルチビタミンの使用が全死亡リスクや心疾患、癌などの主要な疾患による死亡リスクとどのような関連があるかを調査しています
総計39万人以上を対象とし、約27年間の追跡調査を行っています
長い!!!www
- マルチビタミンの使用と全死亡リスクの関連
マルチビタミンを毎日使用することは、死亡リスクの低下には結びつかず、むしろ若干のリスク増加(4%)が見られました。特に、初期の追跡期間においてはその傾向が強かったものの、追跡期間の後半ではそのリスクはほぼ1に近づき、差は有意ではなくなりました。 - 心疾患や癌の死亡リスクとの関連
マルチビタミンの使用は心疾患や癌による死亡リスクの低下には結びつかず、これらの主要な疾患に対しても有意な効果は認められませんでした。
結果、マルチビタミンを摂取することが健康寿命を延ばすという証拠は見つかりませんでした
この結果を受け、健康維持や病気予防を目的とする場合には、マルチビタミンだけに頼るのではなく、食生活や運動習慣といった他の要素にも目を向けることが重要であることが示唆されています
直感的にはマルチビタミン飲んでる方が良くなりそうなのに、それを超えて死亡リスクの増加しているからね・・・
不思議・・・
結果を鵜呑みしたらマルチビタミンの人気なくなんちゃうかレベル・・・
もしこの試験を日本で行なう、行なっていたらと仮定すると
1. 日本人特有の体質や栄養状態を考慮した結果
日本人は欧米人と比較して、体格や体質、遺伝的な要因が異なり、特定のビタミンやミネラルの必要量が異なります
また、食生活も和食中心であるため、特定の栄養素(例:鉄、カルシウム、ビタミンDなど)が不足しやすいとされています
そのため、アメリカで行われたマルチビタミンに関する研究結果をそのまま適用するのは難しい部分があり、日本人の栄養状況に合わせた設計の試験が必要と思われます
2. 健康ユーザー効果の違い
日本でのマルチビタミンの使用者は、アメリカと比べてより健康意識が高く、バランスの良い食事や定期的な運動を実施している傾向があるため、バイアスがより顕著に表れる可能性があります
サプリメントの使用自体が健康に直結しているかどうかを判断するのが難しいかもしれません
3. 日本での試験デザインと結果の可能性
仮に日本で同様の大規模試験を行った場合:
- 全死亡リスクとの関連性:食生活の違いやBMIの基準の違いから、アメリカの研究とは異なり、日本では死亡リスクの増減がより緩やか、もしくは統計的に有意ではない可能性がある
- 心疾患やがんとの関連性:日本人は欧米人と比べて心疾患や肥満のリスクが低いため、これらの疾患に対するマルチビタミンの影響も異なる結果が得られるかもしれません
日本でアメリカと同様のマルチビタミンに関する試験を行った場合、異なる食文化や健康習慣、遺伝的要因の違いが結果に影響し、アメリカの研究とは異なる結論が得られる可能性があるかもしれませんね
まとめ
アメリカでのマルチビタミンに関するコホート研究を読んでみました
アメリカと日本では食習慣も違うので、これをもって、マルチビタミンは飲まんほうがいいよとは言えない気がします
日本と同じような食習慣(あるのか?)もしくは、同じアジア圏で似たような結果なら、我々日本人に適応されるかもしれません
のでasiaで同じような試験があれば注目すべきと思います
マルチビタミンで健康を維持されている方も多いと思いますし、
ビタミンDは取れよと昔の上司も言っていた気がします
以上参考になれば幸いです
コメント