オーストラリアでMDMA(エクスタシー)が処方できるようになったと聞いて

健康・減量

全員に処方できるわけではないです。

2023年7月1日から、オーストラリアの精神科医は特定の条件を満たす患者に対して3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)を処方することが認められています。

この変更により、MDMAは、特に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療のために、精神科医によって処方されることが可能となっています。

Australian Government Department of Health and Aged Care

心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療において、MDMA補助心理療法が有望であることが示されており、MDMAは、心理療法のセッション中に患者がトラウマ体験に対処するのを助けることができ、治療の効果を向上させる可能性があるそうです。

急にMDMAが治療薬として台頭してきました。ちょっと歴史を振り返りたいですね。

MDMAにそこまで詳しくないので、どのような経緯で治療薬になったのか調べながら記事にします。

MDMAとは?

MDMA(3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)は、一般に「エクスタシー」として知られている合成精神刺激薬です。

この物質は、感情の高揚やエネルギーの増加、親密感の向上などの効果をもたらし、サイケデリックな効果があるとされています。

MDMAは、1970年代からレクリエーショナルな使用が始まり、特にダンスクラブや音楽フェスティバルなどの社交場で使用されていました。

しかし、MDMAは依存性があり、不適切な使用は重大な健康問題を引き起こす可能性があります。心臓の問題、精神的健康の問題、および脳機能の問題など。

依存が一番恐ろしいです。

幻覚

MDMAが幻覚を起こす機序

MDMA(3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)は、中枢神経系に作用する精神刺激薬であり、一部の幻覚作用を持ちます。

この物質の作用機序は、主に神経伝達物質の活動に影響を与えることによって生じます。

具体的には、以下の点が関与しています。

セロトニン放出:MDMAは、神経細胞がセロトニンという神経伝達物質を放出するのを促進します。セロトニンは、気分、感情、睡眠、および感覚の認識に関与しており、その放出によって、気分の高揚や感覚の変化が引き起こされます。

ドーパミンおよびノルアドレナリンの放出:MDMAはまた、ドーパミンとノルアドレナリンという他の2つの神経伝達物質の放出も促進します。これらの神経伝達物質は、報酬や快楽、活動レベル、および注意に関与しています。

セロトニン再取り込み阻害:MDMAは、セロトニンの再取り込みを阻害することで、神経シナプス間のセロトニンの濃度を増加させます。これにより、セロトニンの効果が増強および持続され、感覚や知覚の変化を引き起こします。

恐怖の減少:MDMAは、恐怖の再固定化と恐怖の消去というプロセスに影響を与える可能性があり、これが心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療に有用であると考えられています。MDMAのこれらの作用は、患者が心理療法中にトラウマ体験を再評価し、その経験に対処するのを助ける可能性があります

恐怖の減少については初めて知りました。

MDMAが作られた経緯は?

MDMA (3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)は、1912年にドイツの製薬会社メルクによって初めて合成されました。当初、MDMAは製薬製品として開発されたわけではなく、他の化合物を合成する過程で作られた副産物でした。

MDMAが再び注目されるようになったのは、1970年代になってからで、特に心理療法のの利用可能性が調査されていました。

MDMAが自己認識を高め、心理療法セッション中の対話を促進し、患者がトラウマや困難な感情に対処するのを助けることができると提案しました。それが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や他の精神健康状態の治療におけるMDMAの可能な利点が調査されています。

しかし、1980年代に、MDMAはレクリエーショナルドラッグとして人気が高まり、その結果、多くの国で規制が厳格化されました。そのため、医療目的での使用は限定的であり、近年まで研究が制限されていました。

元々PTSD治療として考えられたけどレクリエーショナルドラッグとして流行したあまり、それは忘れ去られ、今日にやっと研究が進んできたようです。

他にMDMAが使用される国はある?

アメリカでは、MDMAがPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療に効果的であることを示す臨床試験の結果を受けて、MDMAの医療用途の認可が進行中らしい。

特に、Multidisciplinary Association for Psychedelic Studies(MAPS)が実施したフェーズ3臨床試験の成功を受けて、アメリカ食品医薬品局(FDA)の認可に向けた動きがあり、2024年までに認可される可能性があると報じられています。

nature

MDMAに似ているドラッグは?

ChatGPTに聞いてみました。

アンフェタミン(速効性アンフェタミンおよびメタンフェタミン):アンフェタミンは、MDMAと同様に、中枢神経系を刺激する薬物であり、エネルギーの増加、覚醒状態の向上、そして集中力の向上をもたらします。

メフェドロン:メフェドロンは、刺激と幻覚作用を持つ新規サイコアクティブ物質(NPS)であり、エクスタシーやアンフェタミンに似た効果をもたらします。

2C-B:2C-Bは、サイケデリックで幻覚作用を持つ化合物であり、MDMAに似た感情の高揚や親密感をもたらすことが報告されています。

EthyloneやMethylone:これらの化合物は、MDMAに似た刺激および感情の高揚をもたらすことがあります。

LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド):LSDは強力なサイケデリック薬物であり、視覚および聴覚の幻覚を引き起こしますが、MDMAのように感情の高揚や親密感をもたらすことは少ないです。

知らん薬いっぱいあるやん笑

アンフェタミンくらいしかわからん。

ADHD治療薬としてビバンセ(リスデキサンフェタミン)ビバンセとはアンフェタミンのプロドラッグです。

アンフェタミンって何?

アンフェタミンは、注意欠如・多動症(ADHD)の治療に効果的であるとされています。その作用機序は、主に脳内の神経伝達物質の活動を変化させることによって、集中力を向上させたり、衝動性を減少させたりします。具体的な作用機序は以下の通りです。

神経伝達物質の放出の促進:アンフェタミンは、ドーパミンおよびノルアドレナリンといった神経伝達物質の放出を促進します。これらの神経伝達物質は、報酬、覚醒、および注意の制御に関与しています。

神経伝達物質の再取り込みの阻害:アンフェタミンは、神経細胞がこれらの神経伝達物質を再取り込む能力を阻害し、その結果、神経伝達物質のシナプス間濃度が増加します。これにより、ドーパミンとノルアドレナリンの効果が増強および持続されます。

効果的にはアンフェタミンもMDMAもほぼ同じ。

効果の強弱はよくわかりませんが。

PTSDの治療にMDMA使うとのはそれで依存症にはならないのか?

PTSDの治療に使っても依存性になったら困りますが。

MDMAを使用したPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療は、臨床試験のコンテキストで慎重に管理され、規制されています。このような設定では、MDMAは専門家によって監督され、依存リスクを最小限に抑えるためのプロトコルが実施されています。

用量と頻度:MDMAを使用したPTSD治療では、用量と投与頻度が厳密に制御されています。通常、治療は数回のセッションで行われ、それぞれのセッションの間に数週間の間隔があります。このように、用量と頻度が制御されているため、依存のリスクは低減されます。

依存性のリスク:MDMAは依存性が低いとされていますが、依存のリスクはゼロではありません。しかし、治療のコンテキストで使用された場合、依存のリスクは非常に低いと考えられています。

まとめ

MDMAがPTSDの治療になりうるということをまとめました。

MDMAって言ったら悪いもの、というイメージがありますが、一方で治療薬にも使える可能性があるというのは面白いですね。

そもそもの開発の経緯も、単なるレクリエーション目的ではないですからね。

元々1970年台くらいにPTSDの治療にも使おうとした経緯があります。

アメリカのFDAが認可したら日本でも処方できるようになりそうな気もしまが、今後どうなるのか注目しています。

以上参考になれば幸いです。

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