蕁麻疹において抗ヒスタミン薬にロイコトリエン受容体拮抗薬を足すことの意義は?

健康・減量

蕁麻疹は、皮膚に痒みを伴う膨疹(蕁麻疹)や浮腫(血管浮腫)を特徴とする炎症性疾患であり、世界中で多くの人が罹患しています

特に6週間以上続く慢性蕁麻疹は生活の質を大きく低下させ、不眠や不安、抑うつ症状を引き起こします

一般的に、蕁麻疹の治療にはH1抗ヒスタミン薬が用いられますが、それでも症状が改善しない場合、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)が追加されることがあります。

しかし、LTRAを追加する効果については不確実性が残っていました。

喘息以外ではそこまで臨床的には使わない薬剤かなと思いますが、薬理学的にはアレルギー要素にも効きそうではあります

蕁麻疹において抗ヒスタミン薬にロイコトリエン受容体拮抗薬を追加して調べた論文があるので見てみます

まず、LTRAとは何かも改めて考えます

LTRAとは何か?

LTRAは、ロイコトリエンと呼ばれる炎症性メディエーターの働きを抑制する薬剤です。

LTRAの作用

  1. 気道収縮の抑制:喘息などでの気道閉塞を軽減します。
  2. 血管透過性の抑制:浮腫の形成を防ぎます。
  3. 炎症反応の軽減:炎症細胞の浸潤やヒスタミン放出を抑制します。

ロイコトリエンの役割

  • ロイコトリエンは主に白血球から分泌される物質で、気道収縮血管透過性亢進粘膜浮腫炎症細胞の浸潤を引き起こします。
  • アレルギー性疾患(喘息やアレルギー性鼻炎、蕁麻疹など)において、ロイコトリエンが強く関与することが知られています。

代表的なLTRAの薬剤

1. モンテルカスト(Montelukast)

  • 商品名:シングレアキプレス
  • 用途:喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹
  • 特徴:1日1回の投与で効果が持続し、副作用が比較的少ない。

2. プランルカスト(Pranlukast)

  • 商品名:オノン
  • 用途:喘息、アレルギー性鼻炎
  • 特徴:日本でよく使用される薬剤。

LTRAの臨床的な適応

  1. 気管支喘息
    • 気道収縮や炎症を抑制し、発作の頻度や重症度を軽減します。
    • 吸入ステロイドと併用されることが多いです。
  2. アレルギー性鼻炎
    • 鼻閉や鼻汁の改善効果があります。
  3. 蕁麻疹
    • 抗ヒスタミン薬で効果が不十分な場合に追加されることがあります。
  4. 好酸球性中耳炎
    • 鼓膜や中耳の浮腫を軽減し、難治性中耳炎の治療に用いられます。

LTRAの副作用

LTRAは比較的安全な薬剤とされていますが、以下の副作用が報告されています:

  1. 頭痛・めまい
  2. 腹痛・下痢
  3. 発疹・アレルギー反応
  4. 精神神経系の副作用(特にモンテルカスト)
    • 不眠、不安、抑うつ自殺念慮 などがまれに報告され、米国FDAは2020年に警告を出したそうです

精神神経系の副作用は初めて知りました

常識なんか?

結構知らん気がするけど・・・

報告例の中には、軽症の喘息やアレルギー性鼻炎でモンテルカストを使用していた患者にも副作用が発生しており、医療従事者への注意喚起が必要と判断されました

精神神経系副作用の発現時期

副作用は薬の投与開始直後から数週間以内に発現することが多いです。

症状は薬の中止後に改善する場合がほとんどですが、続くケースも報告されています

日本では目立った報告はなかった気がしますが、長期服用時は注意がいるのかもしれません

FDAの勧告内容

  • アレルギー性鼻炎に対しては、他の治療薬が無効または耐えられない場合にのみ使用すべき。
  • 患者および医療者は精神神経系の症状に注意し、異常があれば直ちに中止して医師に相談すること。
  • 代替薬(抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬)の使用が推奨される

とのこと

今回読んだ論文

Leukotriene receptor antagonists as add-on therapy to antihistamines for urticaria: Systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials です

研究の概要

LTRAを抗ヒスタミン薬に追加した場合の効果と副作用について評価し、合計34件のRCT(参加者3,324人)を統合解析されております。

主要な結果

  1. 蕁麻疹活動性の軽減
    • LTRA追加により、蕁麻疹活動スコアがわずかに改善(5.04ポイント減少)。
    • 効果の確実性:中等度
    • NNT(治療必要数):8人 で1人が有意な改善を経験。
  2. 痒み(Itch)
    • 痒みの重症度がわずかに軽減(スコア0.25ポイント改善)。
    • 効果の確実性:中等度
  3. 膨疹(Wheal)
    • 膨疹の重症度もわずかに改善(0.25ポイント減少)。
    • 効果の確実性:中等度
  4. 睡眠障害
    • LTRAの追加は睡眠の質にほとんど影響しない(データ不確実)。
  5. 生活の質(QOL)
    • 生活の質がわずかに改善(3.51ポイント減少)。
    • 効果の確実性:低

LTRA追加は、抗ヒスタミン薬単独と比較して、蕁麻疹の活動性・痒み・膨疹の重症度をわずかに改善する可能性があるとのことでした

LTRAと蕁麻疹治療のまとめ

  1. 第一選択薬は抗ヒスタミン薬
    蕁麻疹治療においては、安全性と即効性の観点からH1抗ヒスタミン薬が最優先。
  2. LTRA(ロイコトリエン受容体拮抗薬)の位置づけ
    抗ヒスタミン薬でコントロールできない慢性蕁麻疹に対して、LTRA(例:モンテルカスト)が補助的に使用される可能性があることは研究で分かった。
  3. LTRAの効果
    • 蕁麻疹の痒み膨疹の重症度をわずかに改善することが示された。
    • 特に喘息やアレルギー性鼻炎が合併している場合に有用です。

あくまでも効果は僅かでメインにはなりにくいと思う

  1. 副作用のリスク
    モンテルカストでは、精神神経系の副作用(不安、抑うつ、不眠、自殺念慮)がまれに報告されており、FDA警告も出ています。そのため、使用には注意が必要です。
  2. 結論
    • 慢性蕁麻疹が抗ヒスタミン薬単独で改善しない場合、LTRAの追加は一つの選択肢となりうるが、副作用リスクを十分に理解し、説明した上で慎重に使用することが重要です。

この副作用は不学で知りませんでした

効きそうやから飲んどきなはれってイメージだったのだが、FDAから警告とかいわれると控えめになっちゃうね

今回ブログ記事をまとめるために再学習した結果、副作用を知ることができました

LTRAを学び直すなんて普段はしないので、ブログで知識をまとめる習慣は有意義だと感じました

以上参考になれば幸いです

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