糖尿病の薬であるメトホルミンがLong COVIDに効果があるとの論文があるらしい

健康・減量

メトホルミンって聞いたら、糖尿病の薬しか思いませんが、最近ではcovid関連の論文に多く載っている。

誰が思いつくのだろうか?

元々、抗ウイルス作用は指摘されていたので、それを知っている人と思うけれども、多くの医者は糖尿病の薬としての認識しかないと思う

並々ならぬ生理学の知識と、それをstudyしてみようというtryの姿勢が凄まじいなと、尊敬しています

閃きと実行力には感嘆するな・・・

メトホルミンがLong COVID(長期的な新型コロナウイルス感染症の後遺症)に効果があるという考えは、マサチューセッツ大学医学部と理工学部生物医工学部が開発したシミュレーターによって予測されていたらしい。

どんなシュミュレーレーションなんやろか?

さて、面白いstudyの名前はCOVID-OUTです、メトホルミン+イベルメクチン、メトホルミン+フルボキサミン、メトホルミン+プラセボ、イベルメクチン+プラセボ、フルボキサミン+プラセボ、またはプラセボ+プラセボを受けるグループに無作為にして比較している。

NEJMやしな・・・

あのイベルメクチンも一緒に調べているのね

イベルメクチンがcovidに効果があるって言われた時は、衝撃でしたね

国試でイベルメクチンといえば、疥癬なので

ということで、メトホルミンやらイベルメクチンやらlong covidについて調べてみるとします。

メトホルミンについて

メトホルミンは、主に2型糖尿病の治療に使用される経口抗糖尿病薬です。

インスリンの感受性を向上させることにより、体内の糖の利用を促進し、肝臓での糖新生を抑制することで血糖値を下げます。

メトホルミンは食後の血糖値の上昇を抑える効果があり、体重増加や低血糖のリスクが他の多くの糖尿病治療薬よりも低いことが知られています。

メトホルミンの効果

インスリン抵抗性の改善:メトホルミンは、体のインスリン使用効率を向上させることで、インスリン抵抗性を減少させます。

血糖値の管理:メトホルミンは、食後の高血糖を抑えることで、日中の血糖値の変動を減らします。

体重減少の促進:メトホルミンを使用すると、体重が若干減少することがあります。これは、インスリン抵抗性が改善されることによるものです。

心血管疾患リスクの低減:糖尿病患者における心血管疾患のリスクを減少させる可能性があります。

メトホルミンの副作用には、胃腸の不快感、下痢、吐き気、時にはビタミンB12の吸収不良が含まれることがあります。重大な副作用として乳酸アシドーシスがありますが、これは非常に稀です。

メトホルミンに抗ウイルス作用があるって報告があるけど?

メトホルミンには、その抗糖尿病作用に加えて、抗炎症作用や抗酸化作用があることが知られており、これらの効果が潜在的な抗ウイルス活性に寄与する可能性があります。

近年の研究では、メトホルミンが特定のウイルス感染、特にインフルエンザウイルスやヘルペスウイルスに対してある程度の保護効果を示す可能性があることが示唆されています。さらに、COVID-19パンデミック中には、メトホルミンがSARS-CoV-2ウイルスに対しても何らかの保護効果を提供するかもしれないという報告がいくつかありました。

メトホルミンがウイルスの複製を直接抑制するわけではなく、ウイルス感染に対する宿主の免疫応答を変化させることによって、感染の重症度を減少させる可能性があることを示唆しています。

メトホルミンは細胞の代謝状態を変化させることで、ウイルスが宿主細胞を乗っ取るのを難しくする可能性や、抗炎症作用により、ウイルス感染によって誘発される過度の免疫応答やサイトカインストームを抑制することで、感染の結果を改善することがあります。

しかし、これらの効果はまだ完全には理解されていないようです

イベルメクチンは?

イベルメクチンは、もともと寄生虫感染症の治療に用いられる薬剤です。糞線虫症、オンコセルカ症(河川盲目症)、鉤虫症、疥癬(かいせん)など、特定の寄生虫による感染症の治療に効果があります。

イベルメクチンは、寄生虫の神経系に作用し、麻痺させて死滅させることで効果を発揮します。

日本を含む多くの国で、イベルメクチンはこれらの特定の寄生虫感染症の治療薬として認可されています。

しかし、COVID-19パンデミック中には、イベルメクチンがSARS-CoV-2ウイルスに対して抗ウイルス効果を持つ可能性があるという研究がいくつか報告されました。

これらの報告により、一部の地域や個人の間で、COVID-19の予防や治療にイベルメクチンを使用する動きが見られました。

しかし、世界保健機関(WHO)や米国食品医薬品局(FDA)、日本の厚生労働省を含む多くの国際的な健康機関は、COVID-19に対するイベルメクチンの使用については推奨していません。

これは、イベルメクチンのCOVID-19に対する効果を確認するための十分な科学的根拠や大規模な臨床試験結果がまだ不足しているためです。

イベルメクチンをCOVID-19治療薬として使用することには、効果の不確実性だけでなく、不適切な使用による健康リスクも伴う可能性が示唆されています。

フルボキサミンは?

フルボキサミンは、日本でも使用されている抗うつ薬です。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類され、主にうつ病や強迫性障害(OCD)の治療に用いられます。

SSRIはセロトニンの神経伝達を促進することで、うつ病やOCDの症状を改善します。

COVID-19パンデミック期間中には、フルボキサミンがCOVID-19の重症化予防に有効かもしれないという研究結果も報告されました。

これは、フルボキサミンが抗炎症作用を持つ可能性があるためで、COVID-19による過度の免疫反応や炎症反応を抑制することで、症状の重症化を防ぐ効果が期待されています。

ただし、この用途でのフルボキサミンの使用は、まだ研究段階にあり、COVID-19治療薬として公式に推奨されているわけではありません。

日本では、フルボキサミンは主に精神医学の領域で使用されており、その他の潜在的な用途については今後の研究結果を待つ必要があります。

Long COVIDの定義は?

Long COVID、別名「Post-Acute Sequelae of SARS-CoV-2 infection (PASC)」とも呼ばれる、は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後に回復するのに通常よりも長い時間がかかる状態、または感染後数週間から数ヶ月にわたって持続する一連の症状を指します。

Long COVIDの症状は非常に多岐にわたり、軽度から重度まで様々で、感染者の日常生活や仕事能力に影響を与えることがあります。

Long COVIDの定義は、健康機関や研究によって若干の違いがありますが、一般的には以下の特徴を含みます:

持続性の症状:COVID-19の初期感染から回復した後も、疲労感、息切れ、関節痛、胸部不快感、認知障害(「ブレインフォグ」とも呼ばれる)、味覚や嗅覚の異常などの症状が続く。

機能的な制限:症状が慢性的になり、日常生活や職業活動に影響を及ぼすこと。

変動する症状:症状が日によって変わり、改善と悪化を繰り返すことがある。

Long COVIDの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、ウイルス感染による免疫系の持続的な活性化、炎症反応、血管の問題、または自己免疫の問題などが関与している可能性が考えられています。

診断に関しては、他の医学的な原因による症状の排除と、COVID-19の感染歴と症状の持続性に基づいて行われます

世界保健機関(WHO)によるLong COVID(長引くCOVID-19)の定義も記載します

COVID-19感染後に回復するのが通常よりも長く、特に急性感染の初期段階から回復後3ヶ月以内に開始し、持続期間が2ヶ月以上である症状のことを指します。これらの症状は、感染の初期段階には存在しなかったか、または悪化したものであり、時間の経過とともに変動することが特徴です。

WHOは、Long COVIDを「Post COVID-19 Condition」とも呼称しており、この状態は通常、以下の特徴を持つと説明しています:

  • 時間の経過と共に変化する様々な身体的、認知的、心理的症状。
  • 日常生活の質に影響を及ぼす可能性がある。
  • 他の診断で説明できない症状。

 covid out論文の結果

Findings Between Dec 30, 2020, and Jan 28, 2022, 6602 people were assessed for eligibility and 1431 were enrolled and randomly assigned. Of 1323 participants who received a dose of study treatment and were included in the modified intention-to-treat population, 1126 consented for long-term follow-up and completed at least one survey after the assessment for long COVID at day 180 (564 received metformin and 562 received matched placebo; a subset of participants in the metformin vs placebo trial were also randomly assigned to receive ivermectin or fluvoxamine). 1074 (95%) of 1126 participants completed at least 9 months of follow-up. 632 (56·1%) of 1126 participants were female and 494 (43·9%) were male; 44 (7·0%) of 632 women were pregnant. The median age was 45 years (IQR 37–54) and median BMI was 29·8 kg/m2 (IQR 27·0–34·2). Overall, 93 (8·3%) of 1126 participants reported receipt of a long COVID diagnosis by day 300. The cumulative incidence of long COVID by day 300 was 6·3% (95% CI 4·2–8·2) in participants who received metformin and 10·4% (7·8–12·9) in those who received identical metformin placebo (hazard ratio [HR] 0·59, 95% CI 0·39–0·89; p=0·012). The metformin beneficial effect was consistent across prespecified subgroups. When metformin was started within 3 days of symptom onset, the HR was 0·37 (95% CI 0·15–0·95). There was no effect on cumulative incidence of long COVID with ivermectin (HR 0·99, 95% CI 0·59–1·64) or fluvoxamine (1·36, 0·78–2·34) compared with placebo.

Outpatient treatment of COVID-19 and incidence of post-COVID-19 condition over 10 months (COVID-OUT):
a multicentre, randomised, quadruple-blind, parallel-group, phase 3 trial

結果:2020年12月30日から2022年1月28日までに、6602人が適格性を評価され、1431人が登録され無作為に割り当てられた。

研究治療を受けた1323人の参加者が修正された意図を持つ治療集団に含まれ、1126人が長期フォローアップに同意し、180日目の長期COVIDの評価後に少なくとも1回の調査を完了した(564人がメトホルミンを受け、562人が同一のメトホルミンプラセボを受けた;メトホルミン対プラセボ試験の一部の参加者は、イベルメクチンまたはフルボキサミンを受けるよう無作為に割り当てられた)。

1126人の参加者のうち1074人(95%)が少なくとも9ヶ月のフォローアップを完了した。1126人の参加者のうち632人(56.1%)が女性で、494人(43.9%)が男性だった;632人の女性のうち44人(7.0%)が妊娠していた。中央値年齢は45歳(IQR 37–54)で、中央値BMIは29.8 kg/m2(IQR 27.0–34.2)だった。

全体として、1126人の参加者のうち93人(8.3%)が300日目までに長期COVIDの診断を受けたと報告した。

300日目までの長期COVIDの累積発生率は、メトホルミンを受けた参加者で6.3%(95%CI 4.2–8.2)、同一のメトホルミンプラセボを受けた者で10.4%(7.8–12.9)であり(ハザード比[HR] 0.59、95%CI 0.39–0.89;p=0.012)、メトホルミンの有益な効果は、事前に定められたサブグループ全体で一貫していた。

症状発症から3日以内にメトホルミンが開始された場合、HRは0.37(95%CI 0.15–0.95)だった。イベルメクチン(HR 0.99、95%CI 0.59–1.64)またはフルボキサミン(1.36、0.78–2.34)とプラセボとの比較で、長期COVIDの累積発生率に効果はなかった。


Outpatient treatment of COVID-19 and incidence of post-COVID-19 condition over 10 months (COVID-OUT):
a multicentre, randomised, quadruple-blind, parallel-group, phase 3 trial

安全については、メトホルミンの第3相試験では、糖尿病のない成人を対象としており、安全性に関する問題はないとのことです

図が非常にわかりやすいですが、綺麗に差があるように見えます。

まとめ

あくまで海外でのstudyですので、日本人に当てはまるかはわかりませんが有意差は出ていそうです

ちなみにイベルメクチンは有意差はなさそうです

ちなみに、メトホルミンは安価なので使いやすいそうです

こういう従来は糖尿病の薬であるけれど、可能性があるなら試してみるという姿勢や閃きは非常に勉強になります

続報が期待されますね

以上参考になれば幸いです

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