風邪を引いてしまいました。発熱はないものの倦怠感が半端ないです。
熱が高い場合は仕事はやすまないといけませんが、倦怠感だけならやすみにくいのが現状です。
こういう状況が一番辛いなと思います。
そんな中ふと浮かんだのが、運動中に筋トレしたら免疫力アップして回復早くなるのか?というアイデアでした。
適度な運動は免疫力を高めるというのは何となく言われています。
The Effect of Exercise on Prevention of the Common Cold: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trial Studiesという論文がありますが、これは予防的な効果に言及しています。
ということでn=1のcase reportになりますが自分での実験をしてみました。
それまでに運動と免疫の基礎知識や、免疫システムについて触れます。
筋トレで風邪予防はできるのか?
筋トレが風邪予防に役立つという考え方は、適度な運動が免疫システムに与える好影響に基づいています。
- 免疫システムの強化:適度な筋トレは、免疫細胞の活動を促進し、感染に対する体の抵抗力を高めることができます。
- ストレス軽減:定期的な運動はストレスホルモンのレベルを下げることが知られており、ストレスは免疫機能を低下させる要因の一つです。
- 血流改善:筋トレにより血流が改善され、免疫細胞が体内を移動しやすくなり、感染への反応が早くなります。
- 睡眠の質の向上:運動は睡眠の質を向上させることができ、良好な睡眠は免疫機能の向上に重要です。
- 総合的な健康状態の向上:筋トレは全体的な健康を向上させ、感染症に対する抵抗力を高めることができます。
免疫システムを強化する具体的なメカニズムは?
- サイトカインの調節
- 適度な運動は炎症を促進するサイトカインのレベルを一時的に増加させることがありますが、継続すると抗炎症サイトカインのレベルを高め、全体的な炎症反応を抑制します。
- 例えば、IL-6(インターロイキン6)は、筋肉運動によって筋肉から分泌され、抗炎症作用を持つIL-10の産生を促進します。これは、適度な運動が慢性炎症を減らす助けとなるメカニズムの一つです。
- 免疫細胞の活性化と再分布
- 運動中には、血液中のリンパ球(特にナチュラルキラー細胞とT細胞)が増加し、感染に対する体の即応性が向上します。
- ストレスホルモンの影響:
- 運動はストレスホルモン(例えばコルチゾール)のレベルを調節することがあり、これが免疫システムに直接影響を与えます。過度なストレスホルモンの分泌は免疫機能を抑制することが知られていますが、適度な運動による調節は免疫システムのバランスを保ちます。
- 総合的な健康状態の改善:
- 適度な筋トレは、体重管理、心血管系の健康、代謝機能の改善など、
- 筋肉からのサイトカイン分泌:筋トレは筋肉からのサイトカイン(特にマイオカイン)の分泌を促進します。マイオカインは免疫機能に影響を与えるとともに、炎症反応を調節し、代謝機能にも影響を及ぼします。
- 腸内細菌叢の変化:運動は腸内細菌叢(マイクロバイオーム)にも影響を与える可能性があり、これは免疫システムに重要な影響を及ぼします。健康な腸内細菌叢は免疫系の健全な機能に不可欠です。
具体的に書いてみると運動はいいことづくめです。
運動中には、血液中のリンパ球(特にナチュラルキラー細胞とT細胞)が増加する?
運動中、特に有酸素運動を行うと、血流が増加し、リンパ系の動きが活発になります。
これにより、NK細胞やT細胞などのリンパ球が血液中に一時的に多く流れ出し、血液循環が増加します。
NK細胞は、特にウイルスに感染した細胞や癌細胞を認識し、破壊する役割を担います。また、T細胞は体の免疫応答を調節し、特定の病原体に対する免疫を形成します。
これには論文もあって、
この研究によると、運動は循環するリンパ球(NK細胞やT細胞を含む)の数を増加させ、運動後の回復期にこれらの数が減少することが示されています。これは、急性運動が一時的に重要な免疫細胞の血流中での存在を増加させ、体の免疫応答を強化する可能性があることを示唆しています。
別の研究では、
リンパ腫の患者を対象に10分間の急性運動セッションが行われ、その結果、特にサイトトキシックT細胞とNK細胞において白血球数が増加することが確認されました。これは、中程度の強度の運動でさえも重要な免疫細胞を動員できることを示しました。
こう考えるとやっぱり風邪の最中に運動したら回復早くなりそう感がする
人間はどういうプロセスでウイルス感染から離脱する?
- ウイルスの侵入と検知:
- ウイルスは、呼吸器系や消化器系などの体の外側から侵入します。
- 体はパターン認識受容体を使用して、ウイルスの存在を検知します。これらはウイルスの特定の分子パターンを認識し、免疫応答を開始します。
- 初期の免疫反応:
- 感染を検知すると、免疫システムはインターフェロンなどのサイトカインを放出し、ウイルスの複製を抑制し、他の免疫細胞を活性化します。
- NK細胞などの自然免疫細胞が活性化され、ウイルスに感染した細胞を攻撃し始めます。
- 適応免疫の活性化:
- T細胞とB細胞(リンパ球の二種類)がウイルスに対する特異的な応答を行います。
- T細胞は感染細胞を直接攻撃し、B細胞は抗体を生成してウイルスを中和します。
- ウイルスの排除:
- 生成された抗体はウイルスを無力化し、感染の広がりを防ぎます。
- 感染細胞はT細胞によって破壊され、ウイルスは排除されます。
- 回復と免疫記憶:
- 感染がクリアされると、多くの免疫細胞はアポトーシス(プログラムされた細胞死)によって減少しますが、一部のリンパ球は記憶細胞として残ります。
- これらの記憶細胞は再感染時に迅速な免疫応答を提供します。
ウイルスの侵入を防ぐ、それがダメなら複製させない、もし感染してたらその細胞もろとも攻撃するというのがわかりやすいかな。
なのでNK細胞はウイルス細胞を攻撃するし、体に増えたら免疫力は上がりそうである。
NKキラー細胞は抗ウイルス?
ナチュラルキラー(NK)細胞は主にウイルスに感染した細胞や腫瘍細胞に対する免疫応答に重要な役割を果たすことで知られています。
NK細胞は、ウイルスに感染した細胞や異常な細胞を早期に認識し、破壊する能力を持つ白血球の一種です。以下にその機能について詳しく説明します:
- ウイルス感染細胞の認識と排除:
- NK細胞は特定の抗原を認識することなく、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を識別し、攻撃することができます。これは、体の初期免疫応答の一環として重要です。
- 細胞傷害機能:
- NK細胞は、感染細胞や異常な細胞を直接殺す能力を持っています。これは、感染した細胞の細胞膜を破壊することや、細胞をプログラムされた細胞死(アポトーシス)に導くことで行われます。
- サイトカインの放出:
- NK細胞は、サイトカインと呼ばれるシグナル分子を放出することで、他の免疫細胞を活性化し、免疫応答を強化します。これにより、感染の拡大を抑える助けとなります。
- がん細胞の監視:
- NK細胞はがんの予防にも重要な役割を果たします。異常な細胞成長を示す細胞を早期に排除することで、がんの発生を抑制する可能性があります。
こう考えると風邪の真っ只中でも効果ありそうな気がしてきた。
風邪中に運動した結果
咽頭違和感と倦怠感がある私が、30分間くらい腹筋とその他の筋トレをしてみた。
筋トレをした後は倦怠感は少しマシになった気がする
これは行けるかもしれんと思った
しかし翌日倦怠感の著しい増悪、さらにその夜間は悪寒戦慄で愕然とする。
全然あかんかった
まとめ
風邪の急性期に運動してどうなるかについての研究は調べてもなさそう。
予防には効果あるとの報告はちらほらあります。
しかし風邪の最中はそもそも運動する気にならない。
筋トレはギリギリできる。
今回はn=1で結果は残念でしたが。
しかし時間が短かった可能性も否定できず、2時間くらい筋トレをし続けたら結果が変わったかもしれない。
激しいガチガチのトレーニングならどうなるのか?
興味はありますが風邪の時は無理せず休んだ方がいい気がしました。
以上参考になれば幸いです。
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