Chat GPTと医療について、Chat GPTの診断力と私の診断力

健康・減量

医師になってからも、初めて聞く疾患であったり、実際に自分が初めて初療する場合があると思います。

医師になってからも学習しなければならない機会は多く、日々の精進は必要と思っています。

聞いたこともない、経験したことのない疾患は想定できず、早期の診断に至らないからです。

先日、医療用のm3というサイトで難治性口内炎の診断についての記載がありました。

各医療機関を回ってもなかなか診断がつかなかったそうです。

その疾患は自分の想定できるものではなく、咄嗟には出てこないなと思いました。

診断に至っていないものもChat GPTを使えば、診断可能なのか?

ふと疑問に思いました。

Chat GPTの診断力について気になったので、自分と比較してみました。

私自身最初から診察していたら?

予習もなく、患者さんご自身が外来にこられて、予備知識のない状態での想定です。

1回目の受診であれば、一般的な口内炎であれば、口腔内軟膏を処方して経過観察になるでしょう。

多くはそれで自然治癒していきます。

なかなか治りが悪い場合は、一旦ヘルペスを考えて抗ヘルペス薬を投与を検討します。

それでも全然治らない場合は、正直困ります。

記事を見た瞬時に頭に浮かんだのは膠原病(シェーグレンやSLE)、薬疹、ベーチェット病くらいでした。

易感染性なら真菌なども考えても良いかもしれません。

クリニックなら比較的大きめの病院に紹介する、大病院なら種々の検査を開始していく、の流れと思います。

自分が主治医で検査オーダーするなら、上記を想定して出します。

膠原病の検査としては抗核抗体や抗DNA抗体などはオーダーするかなと思いますが、それ以外に口内炎の診断のためにオーダーする項目は浮かびませんでした。

今回は難治性口内炎であり、最終診断は天疱瘡であったと記憶しています。

粘膜類天疱瘡やったか?、忘れました。

天疱瘡は知っています、皮膚や粘膜に水疱を形成します。

診断には血液検査で、血清中の自己抗体を検出することができます。

血清中の抗デスモグレイン1抗体、抗デスモグレイン3抗体を提出します。

口腔内だけのもあるんかいな、というのが正直な感想です。

皮膚にも症状あれば診断もしやすいのでしょうけど。

全然想定できなかったです。勉強になりました。

範囲的には皮膚科疾患になりますが、口腔内だけに限局する場合皮膚科にもいくことは少なく、なかなか診断されにくいと思います。

口の中だけにできる天疱瘡があると、聞いたことがあるだけで早期診断につながる気がします。

難治性口内炎に関して、時間をかけて鑑別診断をあげたらいずれ診断に行き着くと思われますが、外来の限られた時間では、自分での診療をイメージしましたが、正直厳しかったです。

Chat GPT診断の場合

とりあえず、口内炎の鑑別診断は?から聞いてみました。

水疱性口内炎: 口内に水疱ができる病気で、口内炎と似た症状を引き起こしますが、水疱が特徴的な点です。

単純ヘルペス: 口唇や口の周りに水疱ができる病気で、口内炎と似た症状を引き起こすことがあります。

扁平苔癬: 口内に白い斑点や斑塊ができる病気で、口内炎と似た症状を引き起こすことがあります。

膠原病: 自己免疫疾患の一種で、口内炎を引き起こすことがあります。

他の感染症: 細菌感染症、真菌感染症、ウイルス感染症などが口内炎を引き起こすことがあります。

アレルギー反応: 特定の食品や薬物などに対するアレルギー反応が口内炎を引き起こすことがあります。

悪性腫瘍: 口内にできる悪性腫瘍が口内炎のような症状を引き起こすことがあります。

ちゃんと診断してくるやないか!笑

ここら辺は一般的な内科の先生方は想定されていると思います。

水疱性口内炎に関しては、家畜の感染症?のようです。

人にも罹患するみたいですが。

口内炎の鑑別で扁平苔癬は、すぐに浮かばなかったです。

勉強になりました。

この時点では、今回の答えである天疱瘡には行きついておりません。

難治性口内炎で多くの病院で診断されてない

上記のように質問しました。

大口腔性口内炎だけ調べてもよくわかりませんが、それ以外の箇所は概ね問題ないと思います。

具体的な難治性、と質問すると

ここでヒットした。

これは文章をそのままにしていますが、気になるというか間違ってそうな箇所は指摘しています。

嚢胞性線維症性口内炎(Nikolsky病):口内粘膜に水疱ができる病気で、炎症反応によって粘膜が崩壊する症状が現れます。

→嚢胞性線維症はあるけども、口内炎の記述は少ない。

→Nikolsky病? Nikolsky現象のことと思われます。重症薬疹ですね。

口腔扁平上皮発癌前病変(Oral Leukoplakia):白い斑点が口内にできる病気で、扁平上皮ががん化する前段階の状態です。

→これは問題なさそうです。

口腔粘膜天疱瘡(Mucous Membrane Pemphigoid):自己免疫疾患の一種で、口腔内に水疱ができる病気です。

→今回の記事の疾患です。天疱瘡、粘膜天疱瘡が名称と思います。

口腔リケンプランス(Lichen Planus):免疫異常が原因で、口内に白い斑点や炎症が現れる病気です。

→リケンプランスでは検索できません。Lichen Planusは扁平苔癬 のことですので、日本語記名の問題です。

口内乾燥症候群(Sjögren症候群):唾液の分泌が不足し、口内が乾燥して口内炎が発生する病気です。

→Sjögren症候群、シェーグレン症候群でいいと思います。

口内乾燥症候群とは聞いたことないです。

それ以外の難治性と調べると、好酸球性口内炎や口腔紅斑病も鑑別にあげていました。

部分部分は間違っており気になる点はありますが、概ね記述に問題なく結構有用そうです。

まとめ

Chat GPTは鑑別診断を挙げることは可能でした。

人間の記憶力には限界があるので、鑑別診断を出す作業はもうChat GPT含めたAIに勝てないと思います。

おそらく言語化できる疾患に関しては、膨大なデータベースで正解をはじき出してくれそうな気がします。

言語化できる、が鍵ですが。

詳細な身体診察、問診での情報をChat GPTなどのAIに正確な言語で入力する。

その方が信頼度が高くなる未来もあるのかと思います。

詳細な身体診察で、問診という基礎的な所はやはり重要ですね。

細かいデータや身体所見などを入れるとどうなるのか今後試してみます。

自分でも想定して、補完的にChat GPTを使うことは有用と思います。

たまに嘘も混じっているので、完全に信用するのはまだ早そうです。

診断の決定に関しては、正確性、倫理など含めた種々の問題が勃発しそうなので、最後まで医師の裁量になるかと思います。

Chat GPT含めAIツールの併用はありです。

以上参考になれば幸いです。

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