高ALP血症について。そもそもALPとは?

健康・減量

2024/2月追記しています。問題をchatGPTに作ってもらいました。

採血結果を見ていてALPは量っていますが、基本的にはASTやALTなどの肝酵素上昇がないかを確認することが多く、あんまり気にしておられないかもしれません。

成人と小児で少し考えることが違いますので、気になったので調べて見ました。

では、ALPが1000だった場合は体の中で何が起こっているのでしょうか?

少し考えて見ましょう。

そもそもALPとは?

アルカリホスファターゼは、有機リン酸エステルの加水分解を触媒する酵素群のことです。

血清中のアルカリホスファターゼ活性は、主に肝臓 、骨、腸管と循環血液にも存在しています。肝臓で処理された後は胆汁中に排出されます。

肝臓ではリン酸エステルを加水分解して、さまざまな組織による取り込みのための無機リン酸塩を生成するらしいです。

骨代謝の指標として使うこともあります。

正常値は50-400くらいです。検査会社によっては前後するかもしれません。

ALPアイソザイムを提出すれば、どの臓器由来かを知ることができます。

成人でALP1000の場合       

1000だと基準値の倍以上ですね。

無症候性の場合もありますが、まずは基質的疾患を考えます。

鑑別診断としては、

  • 総胆管結石などの胆管閉塞
  • ウイルス性肝炎
  • 薬剤性胆汁うっ滞
  • 原発性胆汁性胆管炎 
  • 原発性硬化性胆管炎
  • 慢性膵炎
  • 骨折の治癒
  • 骨軟化症
  • 副甲状腺機能亢進症

羅列しましたが、簡単に言うと肝臓か骨かです。

腸管由来だとここまで跳ね上がりません。

肝臓で生成され胆汁に排泄されるので、大元の肝臓が障害を受けたり、また胆汁の排泄障害がある場合に増加しています。

この場合は、症状や腹部超音波検査、その他血液検査のASTやALT(肝酵素)の上昇などを判断して、最終的に追加の画像検査を行い診断を確定させていくと思われます。

小児の場合は?

実は小児において、1000以上にALPが上昇することは、しばしば認められます。

では成人のような病態を呈するのでしょうか。

ごくまれに上記の疾患のようなものを併発する可能性もありますが、基本的には一過性にあがっていることが大半です。

よくあるのが、

少し熱が続いているので、念のために血液検査をしました。炎症反応は高くないけれど、ALPが2000も上がっている・・・。その他の肝酵素は問題なし。腹部エコーも骨も問題なし。1か月後に再検査したら下がってきている。

といった話です。

これは一過性の高ALP血症と言われているもので完全に良性です。原因はよくわかりません。

予後としては2.3ヶ月で正常になってくることがは大半のようです。

臨床検査としては、

肝臓由来ならAST、ALT、総ビリルビンおよび直接ビリルビン、 γGTPを、骨由来を想定するならカルシウム、リン、25-ヒドロキシビタミン D 、副甲状腺ホルモンが正常であることを一応確認します。

ちなみに以下の報告があります。

316人の健康な2歳以下の小児で調べたところ、ALPが1000以上認めたのが,2.8%。

Prevalence of transient hyperphosphatasemia among healthy infants and toddlers. Pediatrics 2009; 124:703.

基本的には一過性のものが多いですが、小児の場合も鑑別診断を考えましょう。

  • くる病:ビタミン D 補給なし、日光への露出不足、未熟児。
  • 原因不明の骨折、骨疾患の家族歴、骨疾患の可能性。
  • 正常な骨の成長 :特に幼児期や思春期などの急速な成長期には、骨芽細胞の活動率が高いため
  • 肝疾患、胆石などの胆汁うっ滞:上腹部痛、黄疸、脂肪便、尿の色が濃い
  • 薬物性肝障害
  • 腎性骨異栄養症

上記疾患も考慮に値しますが、ALP以外に以上所見があることが大半です。

小児においてはALP単独の上昇の場合は、一過性の高ALP血症の診断で良いと思われます。

症例問題

生来健康な2歳男児、アレルギー検査の希望をされたので血液検査を施行した。各種アレルギー結果は問題なかったが、ALPは2000と上昇を認めた。その他の血液検査は問題なく、特に症状はない。発達、成長も問題なし。家族歴なし

1.次に行う検査として適切なものを2つ選べ。

  • 1. 胸部レントゲン
  • 2.腹部エコー
  • 3. 頭部CT
  • 4. 6週間後に再度血液検査の再検

2.想定される診断は何か?

  • 1.一過性高ALP血症
  • 2 .胆道結石
  • 3. くる病
  • 4. 急性胃腸炎

答えは1番目は2.4、2番目は1になります。

症例問題 chatGPTに作成依頼

問題:

45歳の男性患者が、疲労感と右上腹部の軽い痛みを訴えてあなたのクリニックを訪れました。彼は最近、体重の減少を経験しており、食欲も以前ほどありません。患者の既往歴には特に注意すべき点はありませんが、彼は定期的な運動をしておらず、食生活はバランスが取れていないと報告しています。肝機能検査を実施したところ、アルカリフォスファターゼ(ALP)のレベルが正常値よりもかなり高いことが判明しました。その他の肝機能指標は正常範囲内です。

問題点:

  1. 高ALP血症の可能性のある原因を挙げてください。
  2. この患者に対して追加で行うべき検査を3つ挙げ、それらがなぜ重要であるかを説明してください。
  3. この患者の症状と検査結果に基づいて、あなたが考える最も可能性の高い診断と、その根拠を述べてください。

回答ヒント:

  • 高ALP血症の原因としては、肝疾患、胆道の閉塞、骨疾患、特定の薬剤の使用などが考えられます。
  • 追加検査には、超音波検査、胆道系のMRI、血清ビリルビン測定などが含まれる可能性があります。これらの検査は、肝臓や胆道系の異常を特定するのに役立ちます。
  • 最も可能性の高い診断としては、この患者の年齢、症状、および初期検査結果を考慮すると、肝臓疾患や胆道系の問題(例えば、胆石症や肝疾患)が考えられます。高ALP血症はこれらの状態において一般的に観察されます。

そこそこちゃんとした問題ができた気がします。

まとめ

ALPの上昇について考察しました。

報告では成人でも無症候性に増加することはあり得るそうですが、基本的には1000異常などの著しい上昇の場合は基質的疾患を疑い追加の検査で評価した方が良いと思われます。

小児では、無症候性に上がることもしばしばありますので、各種検査をして時間をおいて低下を確認する経過観察になることが多いです。

以上参考になれば幸いです。

他にも画像検査などの記事もありますのでご興味あれば一読ください。

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