プレベナーでもニューモバックスでもなく肺炎球菌に新しいワクチンがあるらしい

健康・減量

肺炎球菌といえば、ワクチンです。

赤ちゃんの頃から定期接種していますね、高齢者になっても最近では接種するようになりました。

いずれ私もお世話になる可能性が高いです。

ワクチン後に明らかに肺炎球菌による重症感染が減ったデータが出ておりますので、

このワクチンの有用性は高いと思われます。

肺炎球菌の髄膜炎は減少というか、ほぼほぼ臨床で見なくなったのではないでしょうか。

そんな中新しいワクチンが発売されるようです。

PCV15、製品名バクニュバンス

ちょっとかっこいい名前ですね。

これを機に現状の肺炎球菌、ならびにワクチンについてまとめてみました。

肺炎球菌とは?

肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は、グラム陽生球菌の一種で、通常は上気道に生息しています。肺炎、中耳炎、髄膜炎、敗血症などの感染症を引き起こすことがあります。

肺炎球菌は、人間の喉や鼻に常在菌として存在しているため、健康な人でも感染の可能性があります。

免疫力が低下している人や高齢者、幼児、慢性疾患を持っている人などは、感染による病気を発症しやすいとされています。

ワクチンができる以前、肺炎球菌による髄膜炎は非常に恐ろしい疾患でした。

髄膜炎から致死的になる場合もあれば重篤の後遺症を残す症例もありました。

現在もワクチンで完全に防げるわけではなく、ワクチン株以外による感染、または免疫不全を持っている、腰部の皮膚洞からの感染などで肺炎球菌性の髄膜炎を起こし得ます。

完全にゼロではなく、感染率は極めて減少しました。

肺炎球菌ワクチンとは?

肺炎球菌感染症の予防には、ワクチン接種が有効とされております。

歴史としては、当初は7種類の抗原を含んだ7価ワクチンでした。

このワクチンは、2000年にアメリカで承認され、子供たちの肺炎球菌感染症の発症率を大幅に減少させました。

このワクチンに含まれない肺炎球菌の株が感染症を引き起こすことがあり、その後、13種類の抗原を含んだ13価ワクチンが開発された経緯があります。

現在、日本で接種している肺炎球菌ワクチンには、13種類の抗原を含んだ13価ワクチン(PCV13)と、23種類の抗原を含んだ23価ワクチン(PPSV23)があります。

こどもの定期接種は13価ワクチン、成人は23種類の抗原を含んだ23価ワクチンが効果的とされております。

13価肺炎球菌ワクチン(PCV13)と23価肺炎球菌ワクチン(PPSV23)の違い

PCV13は、13種類の肺炎球菌のポリサッカライド(糖質)に対する免疫力を高めるワクチンです。

主に乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人など、肺炎球菌感染症にリスクのある人々に推奨されています。

PPSV23は、23種類の肺炎球菌のポリサッカライドに対する免疫力を高めるワクチンです。

主に高齢者や免疫力が低下している人に推奨されています。

PCV13とPPSV23の主な違いは、ワクチンの構成成分にあります。

PCV13は13種類の肺炎球菌ポリサッカライドとタンパク質の結合体(結合型ワクチン)であり、PPSV23は23種類の肺炎球菌ポリサッカライドのみからなる単一ポリサッカライドワクチンです。

2歳未満の幼児は免疫系が未成熟であり、PPSV23ワクチンを接種しても免疫反応が効果的に誘導されないため、この年齢層ではPPSV23ワクチンの接種は推奨されていません。

そのため、2歳未満の幼児には、肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)のみが推奨されています。

免疫不全や無脾症の方

免疫不全状態にある人々は、免疫系の機能が低下しているため、肺炎球菌感染症に対する抵抗力が弱くなっています。

B細胞やT細胞の機能が低下している先天性免疫不全症候群や、後天的に免疫機能が低下したエイズなどのHIV感染症、または免疫抑制剤を投与されている移植患者や自己免疫疾患の治療を受けている患者などは、肺炎球菌感染症に罹患するリスクが高くなっています。

無脾臓症の人々も肺炎球菌感染症に罹患しやすくなっています。

脾臓は肺炎球菌感染症を予防するために重要な臓器の一つであり、脾臓がない場合、免疫系の機能が低下して肺炎球菌感染症に罹患するリスクが高くなります。

肺炎球菌ワクチンの効果

科学的データに基づくと、PCV13は肺炎球菌感染症の罹患率や死亡率を有意に減少させることが示されています。

例えば、アメリカ合衆国ではPCV13の導入により、乳幼児の肺炎球菌感染症の発生率が約90%減少したと報告されております。成人でも発症率は低下しています。

IPD caused by PCV13 minus PCV7 serotypes declined by 93% (91-94), by July, 2012, to June, 2013. Among adults, incidence of IPD overall also declined by 12-32% and IPD caused by PCV13 minus PCV7 type IPD declined by 58-72%, depending on age. We estimated that over 30 000 cases of IPD and 3000 deaths were averted in the first 3 years after the introduction of PCV13.

Effect of use of 13-valent pneumococcal conjugate vaccine in children on invasive pneumococcal disease in children and adults in the USA: analysis of multisite, population-based surveillance

訳します(IPDは侵襲性肺炎球菌感染症:invasive pneumococcal disease)

PCV7 のみを継続した場合に 5 歳未満の小児で予想される発生率と比較して、IPD の発生率は全体で 64% 減少し (95% 間隔推定値 [95% IE] 59-68)、PCV13 から PCV7 血清型を引いたものによる IPD は 93% 減少しました。 

2012 年 7 月から2013 年 6 月まで。成人では、年齢に応じて、IPD 全体の発生率も 12-32% 減少し、PCV13 から PCV7 型 IPD を引いたものによって引き起こされる IPD は 58-72% 減少しました。 .

PCV13 の導入後、最初の 3 年間で 30,000 例を超える IPD と 3,000 例の死亡が回避されたと推定しています。

肺炎球菌ワクチンの接種による合併症としては、接種部位の腫れや痛み、発熱などの軽度の症状が報告されていますが、重篤な合併症の発生率は非常に低く、安全性が高いとされています。

ので接種に関してはメリットとデメリットを考慮しても、メリットが多いと思います。

PCV15について

「バクニュバンス®」は、15種類(1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)の血清型に対応した肺炎球菌結合型ワクチンです。

肺炎球菌結合型ワクチンは肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンと免疫原性の面で異なる特性を持ち、肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンとともに高齢者および肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人の方の肺炎球菌感染症予防に貢献することが期待されます。

MSD株式会社ホームページ

これは、PCV13含有血清型に加えて血清型22F, 33Fを含むのが特徴です。

Invasive pneumococcal disease among adults: associations among serotypes, disease characteristics, and outcomeという論文からは、22F, 33FはPCV13非含有血清型の中でも相対的に侵襲性が高く, 重篤な臨床転帰との関連を指摘されています。

Use of 15-Valent Pneumococcal Conjugate Vaccine Among U.S. Children: Updated Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices — United States, 2022という論文では、肺炎球菌複合体ワクチン接種のオプションとしての PCV15 は、追加の疾患原因血清型に対する免疫を誘導するため、小児の肺炎球菌疾患の発生率を低下させることが期待されており、 RCT の結果は、PCV15 の免疫原性と安全性が PCV13 の免疫原性とほぼ同等であることを示唆しています。

まとめ

肺炎球菌、ワクチンについてまとめました。

ワクチンの効果で侵襲的な感染症も減少傾向と思われます。

PCV13とPPSV23がそこそこ普及している中で、どのようにPCV15はシェアを獲得していくのか気になっています。

小児の定期が変わるのか? まずは成人からシェア拡大なのか?

安全性は遜色なく、PCV 13よりカバー範囲も広く、小児にも使えるなら、選択肢としてはありな気もします。

ただ小児で新しい試すのはどうなのか?というとこもあるので成人ですかね。

以上参考になれば幸いです。

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