かぜ薬とは何なのか? ムコダイン 、ムコソルバンを考察

健康・減量

よくかぜ薬として処方されているやつ。

ムコダインとムコソルバン、通称 ムコムコ。

成分名はカルボシステインとアンブロキソール。

俗に言う痰きりと言われるやつで、解熱薬と一緒に処方することが多いです。

解熱薬は痛みや体温を下げてくれて、客観的にも使用後に効果があったことを実感できると思います。

痰切りは?

私自身も処方していますし、自分が感冒の時に内服していましたが、

効いてる?


子どもにもシロップで飲ましたことがありますが、

ほんまに効いている?

なくてもあんまり変わらないんちゃうか・・・・?

と長年思っている今日この頃。

ルーチンで処方していたので、再度調べてなおしました。

ムコダイン (カルボシステイン)

L-カルボシステインの気道での作用は慢性気道疾患患者の喀痰中のシアル酸とフコースの構成比の正常化作用(粘液成分の調整)、慢性気管支炎患者の気管支粘膜上皮の繊毛細胞の修復促進作用(粘膜正常化)、副鼻腔での作用として慢性副鼻腔炎患者の鼻粘膜粘液繊毛輸送機能低下の改善作用、副鼻腔粘膜障害修復作用、中耳での作用は中耳腔貯留液排泄促進作用、粘膜正常化作用を示す

日本薬局方解説書編集委員会編:第十七改正 日本薬局方解説書

長いし漢字多いね。笑

結局は

  • 粘液成分の調整。
  • 粘膜上皮の修復
  • 鼻粘膜の繊毛輸送機能の改善

が主なところでしょうか。

それで喀痰や鼻汁を出しやすくし、鼻閉を改善させます。

対象疾患は成人も小児もほぼ同じです。

小児は下記+滲出性中耳炎の排液にも効果があるそうです。

  • 上気道炎
  • 急性気管支炎
  • 気管支喘息
  • 慢性気管支炎
  • 気管支拡張症
  • 肺結核
  • 慢性副鼻腔炎

最近の論文を調べていると、感冒に使うよりはCOPD患者に有用ではとの報告が多いです。

小児領域の薬と思っていましたが、最近のトレンドはCOPDのようです。

成人領域では、

中等度から重度の COPD 患者 709 人が二重盲検試験で無作為に割り付けられ、カルボシステイン (S-カルボキシメチルシステイン) 500 mg か、プラセボを 1 日 3 回、12 か月間投与された結果、プラセボと比較して、カルボシステインを服用している患者は、1 年間の患者あたりのCOPDの増悪が平均 0.34 減少したとの報告があります。

354 patients were assigned to the carbocisteine group and 355 to the placebo group. Numbers of exacerbations per patient per year declined significantly in the carbocisteine group compared with the placebo group (1.01 [SE 0.06]vs 1.35 [SE 0.06]), risk ratio 0.75 (95% CI 0.62-0.92, p=0.004).

Effect of carbocisteine on acute exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease (PEACE Study): a randomised placebo-controlled study.

小児領域では、

497人の小児を対象とした6つの研究で、有効性が検討された。その結果、粘液溶解剤の有効性(例:7日目の咳の減少)が示されたが、その差は臨床的な関連性はほとんどないことがわかった。全体的な安全性は良好であったが、2歳未満の乳児の安全性を評価するデータは非常に少なかった。

Acetylcysteine and carbocysteine for acute upper and lower respiratory tract infections in paediatric patients without chronic broncho‐pulmonary disease

2歳未満の小児については、アセチルシステインとカルボシステインの安全性について強い懸念があり、2010年にフランスとイタリアでこの年齢層での認可が取り消されたようです。

2歳未満の安全性は?と言う真実があります。

実臨床は使ってるけどね。

今更どう言う風に安全性を確立させるのか、そもそもできるのか?

長年使用して特に問題もないのですが、気に留めてても良いかと。

ムコソルバン (アンブロキソール)

肺表面活性物質の分泌促進作用(正常ラット、レセルピン処理ラット、未熟ウサギ胎児、病態マウス、珪肺患者)

気道液の分泌促進作用(病態ウサギ、正常ウサギ)

線毛運動亢進作用(正常ハト、病態ウサギ)

これらが総合的に作用して喀痰喀出効果を示すものと考えられる。この際、肺表面活性物質の役割としては、線毛の存在しない肺胞や呼吸細気管支を含め気道中の粘性物質を排出しやすくするものと考えられている

KEGG MEDICUS 医薬品情報

日本のDIの記載では、作用確認されてるのほとんど人じゃないやん。笑

ムコダインと作用は似ていますが、違うのは肺表面活性物質の分泌促進作用でしょうか。生理学的には麻酔作用も少しあるようです。

気道粘膜を滑らかにして. 痰と気道壁の粘着性を低下させ、痰が出やすくなるらしいです。汚れを落とす洗剤の認識でしょうかね。

成人は、

  • 急性気管支炎
  • 気管支喘息
  • 慢性気管支炎
  • 気管支拡張症
  • 肺結核
  • 塵肺症
  • 手術後の喀痰喀出困難

小児用は、急性気管支炎、気管支喘息しか薬剤情報で効果ありませんでした。

胃神経を刺激して迷走神経を介して気道分泌物の増加を促進するので、副作用として嘔吐があると思われます。

成人においては、こちらもCOPDに対する治療として、論文が散見されますがあんまり効果的な印象はありません。

抗菌薬と併用については、下記の報告があります。

アモキシシリン、またはアンピシリンおよびエリスロマイシンと同時投与されたアンブロキソールは、肺の抗生体レベルを増加させることが示されています

Clinical Medicine Insights:Ear, Nose and ThroatVolume 12: 1–9

小児においては、やっぱりcochranereviewですが、肺炎に対しては効果はないのではとの文言になっております。

あくまでも対象は急性肺炎です。感冒に限局した論文はほぼないと思います。

There is insufficient evidence to decide whether OTC medications for cough associated with acute pneumonia are beneficial. Mucolytics may be beneficial but there is insufficient evidence to recommend them as an adjunctive treatment for acute pneumonia. This leaves only theoretical recommendations that OTC medications containing codeine and antihistamines should not be used in young children.

Cochrane Database Syst Rev. 2014 Mar 10

まとめ

ムコダイン とムコソルバンについて改めて調べて見ました。

効果効能を見ると、確かに効果ありそうな文言になっております。

ただ明確に効くといった証拠になる論文は不足しているかもしれません。

漫然と使用しておりますが、効果を信じるしかないかもしれません。

信じるか信じないかの薬っていうのは、評価が難しいですね。

少し言い換えると、感冒時絶対必要な訳ではなさそうです。

これが個人的には答えと思います。

しかし、長年使用してきているのを突然無くすのは、なかなか困難です。

処方するつもりはなくても、希望があれば処方しているのが現状です。

また、感冒時にはこれと解熱薬くらいしか、選択肢がないのが事実です。

成人においては、内服の問題はないと思いますが、小児では内服して嫌がって吐いてしまうこともあります。

嫌がっても飲ます必要は少ないのかもしれません。

最近ではコロナ治療に効くのかどうかと、論文も散見されますがあまり効果的だとの論文はなさそうです。

以上 参考になれば幸いです。

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