ケタミン:救命の現場と乱用の現場。イギリスはケタミンで、アメリカはフェンタニル?

健康・減量

薬にはしばしば「二面性」があります

医療現場で命を救う一方で、使い方を誤れば人に害を与える、ケタミンはその典型例と言えるでしょう。

この薬は、1960年代に合成され、麻酔薬として長く使われてきました。

救急対応する医師にとっては馴染み深い薬であり、特に循環動態が不安定な重症患者の挿管においては頼りになる存在です

好きな人は使うけど、一般的でもない気がする

しかし、同じケタミンがイギリスでは若者の間でドラッグとして広まり、深刻な健康被害をもたらしており、論文でも警鐘が鳴らされていました

アメリカで「フェンタニル危機」が叫ばれているのは有名ですが、イギリスには「ケタミン乱用」があるようです

イギリス ケタミンで検索しても、日本語の情報はあまり目立たないのが謎

アメリカ フェンタニルは記事が多いけど

薬物乱用というと地域ごとに顔が違うのである

さて、ケタミンは鎮静鎮痛で非常に有用なものであります

ミダゾラム、フェンタニルと2剤に分けなくても良いし、上述しましたが血圧の低下も起こしにくい

重症心不全で挿管せなあかんとかやったら、挿管導入後の循環虚脱を考えるとケタミンに軍配が上がるだろうか?

乱用している分はあるのに、医療機関への供給が少なくなることはあり得ないと思います

危険薬物はあかんでポスターをchatGPTに作ってもらいました

chatGPTは最近は漢字もちゃんと認識しますね・・・

救急医療におけるケタミンの有用性 ― MatchettらのRCTが示したもの

救急医療において、気管挿管の導入薬の選択は時に患者の生死を分けます

循環が不安定な患者にプロポフォールを使えば血圧が急落するかもしれない

エトミデートも推奨されていますが血圧を保ちやすいが、副腎抑制が問題になる

エトミデートは使用経験ないのでわかりません・・・

そんなときに頼りになるのがケタミンです

この感覚を裏付ける科学的データが、2022年に報告されました

Matchettらによる無作為化比較試験(EVK trial, Intensive Care Med 2022)は、救急挿管時にエトミデートとケタミンを比較し、7日後の生存率がケタミン群で85.1%、エトミデート群で77.3%という結果を示しました

差は7.8%、統計学的にも有意(p=0.005)であり、「ケタミンが生存率を改善しうる」ことが臨床的に示されたのです

もちろん、この効果は28日後には有意差が消えるなど議論の余地を残していますが、少なくとも短期的な救命におけるケタミンの優位性は明らかになりました

つまりケタミンは、「代替薬」ではなく「選ぶ理由のある薬」がわかります

鎮痛鎮静を一挙に兼ね備えており、非常に使い慣れると非常に便利な薬剤と思います

乱用の拡大と社会的課題 ― GuerriniらBMJ社説の警鐘

一方で、イギリスではケタミンが別の文脈で広がっています。

2025年のBMJ社説(Guerriniら)は、こうしたケタミン乱用の急増を示すデータを提示しました。

  • 16〜24歳の自己申告使用率:2010年の1.7% → 2023年には3.8%
  • 依存症治療を開始した患者数:2014–15年の426人 → 2023–24年には3609人(8倍以上)

めっちゃ増えてる

医療現場でうつ病治療に使う量は0.5 mg/kg程度の微量静注ですが、だいたい1mg/kgくらいか

乱用では一度に250mg以上が一般的らしい

多すぎやろ・・・

これは「治療」とはまるで別次元の使い方だなと思います

その結果として、

  • ケタミン膀胱症(排尿困難・血尿・膀胱萎縮)
  • 強い腹痛 “K cramps”(肝障害との関連が疑われる)
  • 記憶障害・抑うつ(長期使用者の35%に重度うつ症状)

といった健康被害が相次いで報告されています。

これらは一度始まると治療が難しく、時に膀胱再建手術や長期の精神科治療を要します。

社説は「単なる規制強化では解決できない」と警鐘を鳴らし、診断基準の整備・全国レジストリ構築・ハームリダクション(使用時の危険低減策)の導入を提言しました。

フェンタニル危機とケタミン乱用 ― 地域ごとの違い

ここで興味深いのは、アメリカとイギリスの「薬物危機」の違いです

イギリスではあんまりフェンタニル聞かない気がする

この違いはchat GPTに聞いておきます

以下参照ください

  • アメリカ:致死的なオピオイドであるフェンタニルの乱用が社会を揺るがしている
  • イギリス:命を奪うほどではないが、若者の生活を蝕むケタミンの乱用が拡大している

フェンタニルがアメリカで広がった理由

  1. 医療用オピオイドの大量処方の歴史
    1990年代に「痛みは第5のバイタルサイン」として積極的な疼痛管理が推進され、オキシコドンなどの処方が急増しました。これによりオピオイド依存の土壌が形成されました。
  2. 違法市場の拡大
    処方薬から転じて、ヘロイン → 合成オピオイド(特にフェンタニル)へと市場がシフト。フェンタニルは「安くて強力」であり、密輸・違法製造が容易だったため爆発的に広がりました。
  3. フェンタニルの致死的な強さ
    モルヒネの約50倍、ヘロインの約30倍の効力があり、少量でも致死的。結果として「オーバードーズ死」という形で社会に強烈なインパクトを与えました。

2. ケタミンがイギリスで広がった理由

  1. 価格の安さと入手のしやすさ
    ケタミンは比較的安価で、粉末状で違法市場に出回りやすい。若者にとって「手軽なドラッグ」として広がりました。
  2. 若者文化・クラブシーンとの結びつき
    1990年代以降、UKのクラブカルチャーやレイブ文化の中で「解離体験(K-hole)」を楽しむ薬として定着しました。MDMAやコカインに比べて安く、短時間で強い体験が得られることが好まれました。
  3. 致死性が低いゆえの油断
    フェンタニルのように「即死リスク」が少ないため、使用者も周囲も危機感が薄かった。その代わりに、膀胱障害や慢性的な精神症状といった「生活を蝕む害」が蓄積する形で社会問題化しました。
  4. 規制の差
    英国ではケタミンは長らくクラスC → クラスB(2014年以降)という比較的緩い規制下にあり、違法ではあるがコカインやヘロインほど重い扱いではなかったため、拡散しやすかった背景があります。

らしいです

結論:命を救う薬の価値を守るために

ケタミンは「悪い薬」ではありません

Matchettらの研究はその救命力を示しましたが、一方でGuerriniらの社説は乱用の危険性を浮き彫りにしました。

乱用が広がれば、その価値は簡単に失われてしまいます

「危険なドラッグ」というレッテルが貼られれば、医療での正しい利用すら難しくなるかもしれません。

ケタミンは「緊急医療の救世主」でありながら、「乱用によるリスク」も背負う薬です。

実際に医療の現場で過去に使用したことがある身とすれば優れた薬剤であると感じます

乱用によって医療供給が途絶えないことを祈っています

以上参考になれば幸いです

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