夜中に突然足がつって目が覚めたことはありませんか?
海外ではこの症状をNLCs(Nocturnal Leg Cramps:夜間脚痙攣)と呼びますが、日本では“こむら返り”として知られています
こむら返りは筋けいれんのことですね
最近読んだ論文でNLCsを書かれておりましたが、日本でNLCS、足と検索しても
ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NCLS)しか出てこないやないかwww
この二つは本当に同じものなのでしょうか?
今回調べた論文は治療に、ビタミンK2を使うというものでした
夜間の足の筋痙攣では、カリウムの値が関係することがある、と認識していたので、なんでビタミンK2やねんと思いました
ビタミンKといえば浮かぶのは薬剤としてはワーファリン・・・
赤ちゃんならケイツーシロップ・・・
この記事では、NLCsとこむら返りの違いや、それぞれの対処法について解説してみます
NLCsとは?
- NLCsの定義と特徴:「NLCs」は夜間に発生する脚の不随意なけいれんで、強い痛みを伴うことが多く、睡眠を妨げる要因となります
- 海外での注目度:海外ではこの症状が医療的にも注目されており、NLCsに特化した治療や予防法の研究が進んでいます
こむら返りとは?
- こむら返りの定義:「こむら返り」はふくらはぎの筋肉が急に収縮して痛みを感じる症状で、夜間に起こりやすい傾向があります
- 一般的な認識:日中の運動中や立ち仕事でも起こるため、日本では「足がつる」「こむら返り」という表現で広く知られています
- 原因:脱水やカリウム・マグネシウム不足、筋肉の過度な疲労が原因となることが多いです
NLCsとこむら返りの違い
- 用語の違い:「NLCs」は夜間の脚けいれんに特化した表現で、こむら返りは日中や夜間を問わない脚けいれん全般を指します
- 症状の認識の違い:NLCsは睡眠中の問題として海外で特化して研究されていますが、日本では「こむら返り」として総合的に扱われています
なぜ日本ではNLCsという表現が少ないのか?
- 言語文化の違い:「こむら返り」という表現が日本では一般的であり、夜間・日中を問わず同じ症状を指しているため、海外と違った表現が定着していると考えます
NLCsとこむら返りに対する対処法
- 共通の対策:電解質の補給(カリウムやマグネシウム)、ストレッチ
- ビタミンK2の新たなアプローチ:NLCsに対するビタミンK2の効果が注目されています、それは後述します
低カリウム血症と筋けいれん
低カリウム血症(Hypokalemia)は、血液中のカリウム濃度が低下した状態を指します
一般的には3.5 mmol/L未満のカリウム濃度が低カリウム血症とされ、症状が進行すると次のような筋肉に関連する症状が現れることがあります
- 筋肉のけいれんやこむら返り:カリウムが不足すると、筋細胞の電位バランスが崩れ、筋肉が適切に収縮・弛緩できなくなります。これにより、特に夜間の脚にけいれんが生じやすくなります。
- 筋肉の疲労や脱力:筋肉が十分に機能しなくなるため、日常生活での疲労感や筋力低下が見られることもあります
低カリウム血症の原因
低カリウム血症は、いくつかの要因で引き起こされることがあります。以下が主な原因です。
- 過剰な汗や尿によるカリウムの排出:運動や暑い環境での発汗、利尿剤の使用により、体内のカリウムが急激に排出されることがあります
- 食事からのカリウム摂取不足:特にカリウムを豊富に含む食品(バナナ、ほうれん草、ジャガイモなど)を十分に摂取していない場合に不足が生じることがあります
- 消化器症状(嘔吐や下痢):胃腸症状によりカリウムが失われると、低カリウム血症のリスクが高まります
カリウム不足が引き起こす腓返りの対策
低カリウム血症による腓返りを予防するためには、カリウムを適切に補給することが重要です。
- カリウム豊富な食品の摂取:日常的にカリウムを多く含む食品(バナナ、サツマイモ、ホウレンソウ、トマト、アボカドなど)を意識して摂取することが効果的です
- 脱水予防:脱水による電解質バランスの崩れを防ぐために、適切な水分補給も重要です
- 医師の指示によるサプリメントの使用:低カリウム血症がひどい場合は、カリウムサプリメントを医師の指導のもとで使用することも検討されます
腎性喪失がある場合は、カリウムを内服しないと補えないと思いますので、極端な低Kであれば精査しましょう
次はビタミンK2に関して見てみます
今回読んだ論文:Vitamin K2 in Managing Nocturnal Leg Cramps A Randomized Clinical Trial
この研究は、中国で行われた多施設二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験で、夜間脚痙攣(Nocturnal Leg Cramps, NLCs)に対するビタミンK2の有効性と安全性を評価することを目的としています
研究デザインと方法
この試験は、65歳以上の高齢者で、少なくとも2回のNLCsエピソードが確認された者を対象とし、2022年9月から2023年12月にかけて実施されました
参加者はビタミンK2(メナキノン7、180 μg)またはプラセボを1日1回8週間摂取するよう無作為に割り当てられました
結果
最終的に199名が無作為化されました
ビタミンK2群には103名、プラセボ群には96名
ビタミンK2群では週あたりのNLCsの発生頻度が2.60回から0.96回に減少し、プラセボ群の3.63回と比較して統計的に有意な差が見られました(P < .001)
ビタミンK2群では痙攣の持続時間が平均0.90分短縮され、痛みの強度も平均2.55ポイント減少しました
安全性と副作用
ビタミンK2の摂取に関連する有害事象は報告されておらず、安全性が確認されました
ビタミンK2はワルファリンの抗凝固効果を妨げる可能性があるため、ワルファリン療法を受けている患者には推奨されない
めっちゃ効果出てるやん!!!!
ビタミンK2は、骨代謝や血管石灰化の調整において重要な役割を果たすビタミンらしい
凝固だけと思ってた
ビタミンK依存性タンパク質が筋収縮に対しても影響を及ぼす可能性が指摘されており、実験研究では、ビタミンKが筋細胞内のカルシウム流入を抑制し、収縮を抑える作用を持つ可能性が示唆されているらしい
まとめ
NLCs(夜間脚痙攣)とこむら返りは、似ている症状ですが、表現や認識に違いがあります
NLCsは特に夜間に発生する脚のけいれんを指す一方、こむら返りは日中も含めた筋けいれん全般を指します
日本では夜間脚痙攣と言っても、通じないと思います
カリウム不足が腓返りの一因であることはよく知られていますが、最近の研究で、ビタミンK2がNLCsの発生頻度や痛みを減少させる効果があることが示され、治療の新たな可能性が注目されています
従来のカリウムやマグネシウム補給に加え、ビタミンK2を含む新しいアプローチがNLCsの管理に役立つかもしれませんね
個人的にはビタミンKと筋肉とのリンクは頭になかったので、非常に参考になった論文でした
以上参考になれば幸いです
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