アビガンが重症熱性血小板減少症候群に適用されることになったらしいので、ちゃんとRNAウイルスとDNAウイルスを勉強しておく

健康・減量

アビガンが重症熱性血小板減少症候群に適用されたらしい

日本産ですし、素晴らしいことですね

アビガンはCOVID19の時に一瞬話題になった記憶がありますが、すぐ下火になった印象でした。

アビガンの作用機序は、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)を阻害することでRNAウイルスの複製を阻害すること、であります

アビガンは別の機会で少し深めたいので、RNAウイルスとDNAウイルスの違いを今回は調べます

久しぶりのウイルス学

一度は習ったはずですが・・・覚えてない・・・

基礎から考えます

生物の定義は?

生物の基本的な特性

  • 細胞構造: すべての生物は一つ以上の細胞で構成されています。細胞は生物の基本的な単位であり、細胞膜に囲まれた構造を持ちます。
  • 代謝活動: 生物はエネルギーを取り入れ、利用して化学反応を行います。このプロセスを代謝と呼び、成長、修復、繁殖などの活動を可能にします。
  • 成長と発達: 生物は成長し、発達します。成長は細胞の数や大きさの増加を伴い、発達は構造や機能の変化を意味します。
  • 繁殖: 生物は自己のコピーを作り出す能力、すなわち繁殖能力を持ちます。これは遺伝情報を次世代に伝える重要なプロセスです。
  • 反応と適応: 生物は環境の変化に対して反応し、適応する能力を持ちます。これは刺激に対する反応や進化を通じて行われます。
  • 遺伝情報の保持: 生物はDNAまたはRNAの形で遺伝情報を保持し、これを基に自己の構造と機能を制御します。この情報は遺伝的に次世代に伝えられます。
  • 恒常性の維持: 生物は内部環境を一定に保つ、恒常性(ホメオスタシス)を維持する能力を持っています。これにより、外部環境の変化に対しても内部環境を安定させることができます。

そもそもウイルスは生物なのか?

ウイルスが生物であるかどうかについては、科学者の間でも意見が分かれているらしい

自己複製能力: ウイルスは宿主細胞に感染しなければ増殖できません。自己複製のために他の生物の細胞を利用する点で、生物としての完全な独立性を欠いています。

代謝活動: 生物はエネルギーを利用して代謝を行い、生き続けるための化学反応を起こします。しかし、ウイルスは宿主細胞外では代謝活動を行いません。これは、ウイルスが生物と見なされるのを難しくする要素です。

構造: ウイルスは核酸(DNAまたはRNA)とタンパク質の殻から構成されており、自己を包む膜を持つものもあります。この構造は生物の基本的な要素に似ていますが、生物としての完全な細胞構造は持っていません。

進化: ウイルスも進化します。時間とともに変異し、新しい形態や性質を持つことがあります。これは、生物の進化と同様のプロセスです。

これらの点を考慮すると、ウイルスは生物と無生物の中間に位置する特殊な存在と見ることができます。

ウイルスは生物のいくつかの特徴を持ちながらも、完全な独立した生命体とは言えないため、生物学者の間では「生物とも無生物とも言えない」との見解が一般的です。

結局ウイルスはウイルスwww

RNAウイルスとDNAウイルスの違い

RNAウイルス

  • 遺伝物質: RNA(リボ核酸)
  • : インフルエンザウイルス、エボラウイルス、ジカウイルス、SARS-CoV-2
  • 特性: RNAウイルスはRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)という酵素を使用して自身のRNAを複製します。これがアビガンのような薬の標的となります​

DNAウイルス

  • 遺伝物質: DNA(デオキシリボ核酸)
  • : ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルス
  • 特性: DNAウイルスは細胞のDNAポリメラーゼを使用して自身のDNAを複製します。抗ウイルス薬としてはアシクロビル(ヘルペス治療薬)などがあります

両者の違い

  • 複製メカニズム: RNAウイルスはRNAを直接複製するため、RdRPを必要とします。一方、DNAウイルスは細胞のDNA複製メカニズムを利用します
  • 治療薬のターゲット: RNAウイルスに対する治療薬(例:アビガン、レムデシビル)は主にRdRPを阻害しますが、DNAウイルスに対する治療薬(例:アシクロビル)はDNAポリメラーゼを阻害する

特異なウイルス

  • 逆転写ウイルス: 例えばHIV(ヒト免疫不全ウイルス)はRNAウイルスですが、逆転写酵素を使ってRNAからDNAを生成し、細胞のゲノムに組み込みます。このため、逆転写ウイルスはRNAウイルスでありながらDNAのステージを持ちます​ 

レトロウイルスは不思議やわ・・・

遺伝情報の安定性と複製速度

  • DNAウイルス: DNAは二重らせん構造を持ち、複製時のエラー修正機能が優れているため、遺伝情報が安定しています。これにより、変異が少なく、安定した遺伝子を維持できます。DNAウイルスは宿主のDNA複製機構を利用して複製します​ 
  •  
  • RNAウイルス: RNAは一本鎖であり、複製時のエラー修正機能が弱いため、変異が多くなります。しかし、これにより急速に進化し、環境の変化や宿主の免疫システムに適応しやすいという利点があります。RNAウイルスは自分自身のRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)を使って複製します​ 

進化の起源

  • ウイルスの起源: ウイルスの進化については多くの仮説がありますが、ウイルスが異なる進化の道を歩んだ理由の一つは、宿主の細胞が持つ複製機構に適応した結果です。原始的なRNAワールド仮説では、初期の生命体はRNAを遺伝物質として使用していたとされ、そこからDNAを使用する生命体が進化したと考えられます​ 
  • 複製戦略の分化: RNAウイルスとDNAウイルスは、宿主との相互作用や環境の変化に応じて異なる複製戦略を進化させました。この進化の過程で、両者はそれぞれの環境に最適な戦略を発展させた結果、現在のような多様なウイルス群が形成されました​ 

ウイルス学おもろいな・・・

他のRNAウイルス

  1. ライノウイルス
    • 特徴: 風邪の主要な原因ウイルスで、鼻水、喉の痛み、咳などの症状を引き起こします。
    • RNA: 一本鎖RNAを持つピコルナウイルス科。
    • 感染時期: 一年中発生しますが、特に春と秋に多いです。
  2. コロナウイルス
    • 特徴: 風邪の原因となる一般的なコロナウイルスも含め、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2もこのカテゴリーに含まれます。
    • RNA: 一本鎖RNAを持つ。
    • 感染時期: 冬季に多い。
  3. RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)
    • 特徴: 小児の重篤な呼吸器感染症の原因となることが多く、大人にも風邪のような症状を引き起こします。
    • RNA: 一本鎖RNAを持つパラミクソウイルス科。
    • 感染時期: 冬季に多い。
  4. パラインフルエンザウイルス
    • 特徴: 呼吸器感染症を引き起こし、特に小児にクループ(急性喉頭炎)を引き起こすことが多いです。
    • RNA: 一本鎖RNAを持つパラミクソウイルス科。
    • 感染時期: 一年中発生しますが、特に春と秋に多いです。

一般的な風邪とされるウイルス感染症はRNAウイルスが多いですね。

病原性と治療法

·  RNAウイルス:髙い変異率により、免疫系やワクチンの効果を逃れることができますこのため、パンデミックを引き起こすことが多いです。

·  DNAウイルス:変異率が低く、感染症は通常慢性化することが多いです。例として、ヘルペス感染症やHPV感染症があります。

RNAウイルスに対するワクチンの開発が難しい理由は?

  • 変異率の高さ:RNAウイルスは、DNAウイルスに比べて変異率が非常に高いです。これは、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)がエラー修正機能を持たないため、複製時に多くのエラーが発生するためです。この高い変異率により、ウイルスは迅速に進化し、新しい株が頻繁に出現します。これにより、ワクチンの標的となるウイルスの抗原が変化しやすく、ワクチンの効果が減少することがあります​ 
  • 抗原の多様性:RNAウイルスは、同じ種類のウイルス内でも多様な抗原を持つことがあります。例えば、インフルエンザウイルスは毎年異なる株が流行するため、毎年新しいワクチンを開発する必要があります。これは、ウイルスの抗原が迅速に変化し、過去のワクチンでは新しい株に対して効果が薄れるためです​ 
  • 安定性の問題:RNAはDNAに比べて化学的に不安定であり、環境条件(例えば温度やpH)の影響を受けやすいです。これにより、RNAを基にしたワクチンの製造や保存が難しくなります

近年、mRNAワクチンの技術が進化し、特にCOVID-19に対するmRNAワクチンが話題になりました。これらのワクチンは、ウイルスのスパイクタンパク質をコードするmRNAを利用し、免疫系にウイルスの一部を認識させて抗体を作らせる仕組みです。

まとめ

ウイルスとは生物とは言えないかも

RNAウイルスの方が複製が不安定であり、エラーが多い。

それ故に進化というか病原性が変わることがある。

例としてはインフルエンザ

風邪のウイルスはほとんどRNAウイルス

RNAウイルスに対するワクチンは作られにくいというのが従来であったが、mRNAワクチンの出現で今後どうなるか

そう考えると、かなり画期的な技術ですね

ウイルス学は深そうだったので、さわりだけ確認しています。

記事にはしないけど、もう少し調べたいなと思いました

RNAとDNAに分けて考えたものの、個人的な見解では、実臨床で、RNAウイルスとDNAウイルスと分けて考えない

研究は違うと思いますけどね

以上参考になれば幸いです

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