変わった名前の疾患と思ってましたが、ちゃんと勉強することにしました
アリスシンドロームって聞くとなんだか漫画のARMSを思い出してしまいました
世代ですね、疾患と漫画とは一切関係ないです。
別に厨二病になる疾患ではありませんwww
面白いので、自分の子にも読んでもらいたい作品ですね
さて不思議な国のアリス症候群(Alice in Wonderland Syndrome, AIWS)の疾患概念は1950年台に確立されています
Uptodateにも普通に記載されています、偏頭痛の亜型のような表現でした
どのような症状か含めて記載します
不思議な国のアリス症候群(Alice in Wonderland Syndrome, AIWS)とは?
視覚や空間認識に異常を来す症候群の一種です
この症候群の名前は、ご存知のルイス・キャロルの小説「不思議の国のアリス」に登場する奇妙な出来事や変化にちなんで名付けられています
主な特徴
- 視覚的変異: 物体が実際のサイズや形状と異なって見えることがあります。例えば、物が異常に大きく見えたり、小さく見えたりすることがあります(マイクロプシア、マクロプシア)
- 時間の歪み: 時間の感覚が歪んで感じられることがあります
- 時間が非常に遅く感じられたり、速く感じられたりすることがあります
- 体感異常: 自分の体の一部が異常に大きく感じたり、小さく感じたりすることがあります
- 空間認識の変化: 周囲の空間が歪んで感じられることがあります。例えば、通路が急に狭くなったり、広がったりするように感じられます
AIWSの原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています
- 偏頭痛: 偏頭痛の前兆や発作時にAIWSの症状が現れることがあります
- ウイルス感染: 特にEBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)などのウイルス感染が関与していることがあります
- てんかん: 特定のてんかん発作がAIWSを引き起こすことがあります
- 脳の異常: 脳の特定の部位に異常がある場合に、AIWSの症状が現れることがあります
診断と治療
AIWSは一般的に自己限定的であり、時間とともに症状が軽減することが多いです。しかし、症状が続く場合や日常生活に支障をきたす場合は、医療機関を受診することが推奨されます。治療方法は、原因となる疾患(例:偏頭痛やウイルス感染)の治療が中心となります。
AIWSと偏頭痛の関連
- 偏頭痛の前兆: AIWSの症状は、偏頭痛の前兆の一部として現れることが多いです。視覚的な異常や空間認識の歪みなど、AIWSの特徴的な症状が偏頭痛発作の前に現れることがあります
- 共通の神経メカニズム: 偏頭痛とAIWSの両方が、脳の特定の部分の血流や神経活動の変化によって引き起こされると考えられています。特に、後頭葉や側頭葉などの視覚処理に関与する領域が関与している可能性があります
- 家族歴: 偏頭痛を持つ人々の中でAIWSの症状を経験する人が多いことが報告されています。このことから、遺伝的な要因も関与している可能性があります
熱せん妄とは違う?
一過性の意識障害としては、熱せん妄もありますが、どのように違うのでしょうか?
熱せん妄
- 主な特徴: 意識の混濁、注意力の低下、錯乱、幻覚、興奮、見当識障害(時間や場所が分からなくなる)など
- 原因: 高熱が原因で起こることが多く、感染症(特に重篤な感染症)、脱水症、薬物反応、中毒、代謝異常などが関与
- 症状の性質: 急性であり、体温の上昇や病的な状態に伴って突然発生する。症状は基礎疾患の治療によって改善する
- 診断: 基礎疾患の診断と同時に行われ、原因となる感染症や他の病態の評価が行われる。血液検査、尿検査、画像検査などが用いられることが多い
AIWSとの違い
- 原因: AIWSは主に神経学的または感染症関連の原因によるものであり、熱せん妄は高熱や全身状態の悪化によるもの
- 症状の性質: AIWSの症状は視覚的・空間的な認識の歪みが主であり、熱せん妄は意識障害や注意力の低下が主です
- 発症タイミング: AIWSは特定のトリガーにより一過性に発症しやすく、熱せん妄は急性の病的状態に伴って発生します
- 治療: AIWSは原因となる疾患(例えば偏頭痛やウイルス感染)の治療が中心となりますが、熱せん妄は基礎疾患(感染症や脱水など)の治療が中心です
脳炎とも違う?
脳炎
- 主な特徴: 脳の炎症により、発熱、頭痛、意識障害、けいれん、認知機能の低下、行動の変化、錯乱、記憶障害などが現れます
- 原因: ウイルス(例えば単純ヘルペスウイルス、エンテロウイルス、日本脳炎ウイルスなど)、細菌、真菌、寄生虫、自己免疫反応などによる脳の炎症
- 症状の性質: 急性または亜急性であり、症状は重篤なことが多い。発症後早急な治療が必要です。
- 診断: 脳脊髄液検査(腰椎穿刺)、MRIやCTスキャン、血液検査、ウイルスの特定などを用いて行われます
AIWSとの違い
- 原因: AIWSは主に神経学的な問題や軽度のウイルス感染によるものであり、脳炎は脳の炎症を引き起こす感染症や免疫反応が原因です
- 症状の性質: AIWSは視覚的・空間的な認識の歪みが主であり、一過性の症状が多いです。脳炎は急性の症状が多く、意識障害やけいれんなどの重篤な症状が現れることが多いです
- 治療: AIWSは原因となる疾患(例えば偏頭痛や軽度のウイルス感染)の治療が中心となりますが、脳炎は迅速な抗ウイルス薬や抗菌薬、免疫抑制薬の投与などが必要です
- 診断法: AIWSは主に臨床的な症状に基づく診断が多いですが、脳炎は腰椎穿刺による脳脊髄液検査やMRIなどの画像検査が必要です
昔の報告で、EBVによるAlice in Wonderland Syndromeでは数週間から数ヶ月症状が続いたとの報告があります。
長い
Clinical observation and neurological outcomes in “Alice in Wonderland” syndrome.というのがその論文です。
1週間から1ヶ月症状が続いている場合には、脳症に準じて治療したくなる気もします
無治療で経過観察だけでは超強気かな・・・
個人的にはステロイドパルスくらいはしたくなると思う・・・
意識障害や見当識障害のごく軽いと判断されているものの中に、不思議な国のアリス症候群が診断されていないだけで一定数いるのかもしれませんね
以上参考になれば幸いです
コメント