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さて、そんな中、肺高血圧(PH)に対するpulmonary artery denervationの面白い論文があったので読んでみる
犬を対象にした実験らしい。
肺高血圧の治療としては、pulmonary artery denervationはmajorではない
pulmonary artery denervationをした犬としていない犬の比較実験
まずは肺高血圧からまとめます
肺高血圧の症状
肺高血圧症(PH)が顕在化すると、様々な症状が現れることがあります
初期段階では症状がほとんどないか、非常に軽微であるため、診断が遅れることもあります
以下は、肺高血圧の代表的な症状です:
- 息切れ(労作時呼吸困難): 最も一般的な症状の一つで、特に運動時に顕著になりますが、病状が進行すると安静時でも息切れを感じるようになります。
- 疲労感: 日常活動に対する耐久力の低下や、普段の活動で異常な疲れを感じることがあります。
- 胸痛: 運動時やストレス時に胸部に痛みを感じることがあります。
- めまいや失神: 血圧の低下や酸素供給の不足により、めまいや失神を経験することがあります。
- 腫れ(浮腫): 足、足首、腹部に水分が溜まることによる腫れが起こることがあります。
- 青白い唇や肌(チアノーゼ): 血中の酸素濃度が低下すると、唇や皮膚が青白く見えることがあります。
- 心拍の増加(動悸): 心臓が正常に機能しなくなり、通常よりも速く打つようになることがあります。
- 進行性の呼吸困難: 病状が進むと、患者はますます呼吸が困難になります。
肺高血圧の種類
肺高血圧症(Pulmonary Hypertension, PH)は、肺の血管に異常な高血圧が発生する病態を指します。この病気はさまざまな原因によって生じ、それぞれ異なる治療法が必要です。
国際的な分類に基づき、肺高血圧症は主に5つのタイプに分けられます。
肺動脈性肺高血圧症(PAH: Pulmonary Arterial Hypertension)
遺伝的要因、薬剤や毒物への曝露、あるいは関連疾患(例えばHIV感染、肝硬変、結合組織病など)によって発症する場合があります。
左心疾患による肺高血圧症
左心室の機能不全や弁膜症など、心臓の左側の部分の疾患が原因で起こります。これは、左心の問題が肺循環に圧力をかけ、肺血管の圧力を上昇させるためです。
肺疾患や低酸素症による肺高血圧症
肺血栓塞栓症による肺高血圧症(CTEPH: Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension)
血栓(血液の塊)が肺の血管を塞ぐことによって発生します。これは、繰り返す肺塞栓症(PE: Pulmonary Embolism)が原因で起こることが多いです。
明確な原因が分類されない肺高血圧症
これは、他の4つのカテゴリーに当てはまらない、稀な病態や原因不明のケースを含みます。例えば、血液疾患、代謝異常、その他の稀な疾患がここに該当します。
それぞれのタイプには特定の治療戦略があり、原因に応じた治療が必要とされます。
肺高血圧症の治療について
1. 肺動脈性肺高血圧症(PAH)
- 血管拡張薬: エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)、ホスホジエステラーゼ-5阻害薬(PDE5i)、プロスタサイクリンアナログやプロスタサイクリン受容体アゴニストなどが使用されます。これらは血管を拡張し、血流を改善します。
- 抗凝固療法: 血栓のリスクを減少させるために使用されることがあります。
- 酸素療法: 低酸素血症のある患者に推奨されます。
左心疾患による肺高血圧症
- 基礎疾患の管理: 心不全の治療、弁膜症の修復や交換、高血圧の管理など、左心疾患を直接治療します。
- 利尿薬: 液体過負荷の管理に使用されます。
3. 肺疾患や低酸素症による肺高血圧症
- 基礎となる肺疾患の治療: COPDや間質性肺疾患などの治療が中心です。
- 酸素療法: 持続的な低酸素血症の管理に必要です。
4. 肺血栓塞栓症による肺高血圧症(CTEPH)
- 手術: 慢性血栓塞栓性肺高血圧症において、可能であれば肺血栓内膜摘出術(PTE)が推奨されます。
5. 明確な原因が分類されない肺高血圧症
- 個別のアプローチ: 原因に応じた治療が行われますが、具体的な治療法は病状によって大きく異なります。
肺交感神経とPHの関係
- 肺交感神経の活性化: PH患者および動物モデルでは、肺交感神経の活性化が観察されます。これは、肺動脈およびその周辺組織での交感神経線維の発火率の増加や、血中のカテコラミン(アドレナリンやノルアドレナリン)レベルの上昇として現れます。これらの変化は、肺動脈の血管抵抗の増加や血管壁の肥厚、そして最終的にはPHの発症に寄与すると考えられています。
- 肺動脈の構造的変化: 肺交感神経の過活動は、肺動脈の平滑筋細胞の増殖を促進し、肺動脈壁の構造的変化を引き起こすことが示されています。これらの変化は、肺動脈の硬直化や狭窄を促進し、PHの重症化に寄与します。
肺交感神経と除去について
肺交感神経(SN)の過活動は、PAHの出現と進行に寄与します。
多数のSNが肺動脈と周囲の結合組織に広く分布しており、PAH患者および動物モデルの両方でSNの発射と循環カテコラミンの増加の兆候があります。
サイバーナイフと呼ばれる非侵襲的な定位放射線治療(SBRT)技術で、肺交感神経に照射することで正常な隣接組織への最小限の損傷を与えつつ、体の目標に大量の放射線を正確に投与することができるらしいです。
放射線治療ですが、カテーテルや開胸に比べるとほぼ侵襲性はなさそうです。
Noninvasive Stereotactic Radiotherapy for PADN in an Acute Canine Model of Pulmonary Arterial Hypertension
が今回読んだタイトルです。
論文結果は、
This study assesses the feasibility, safety, and effectiveness of noninvasive stereotactic body radiotherapy (SBRT) as an approach for pulmonary artery denervation in canine models. SBRT with CyberKnife resulted in reduced mean pulmonary artery pressure, pulmonary capillary wedge pressure, and pulmonary vascular resis- tance, and insignificantly increased cardiac output. In comparison to the control group, serum norepinephrine levels at 1 month and 6 months were significantly lower in the CyberKnife group. Computed tomography, pulmonary angiography, and histology analysis revealed that SBRT was associated with minimal collateral damage
Noninvasive Stereotactic Radiotherapy for PADN in an Acute Canine Model of Pulmonary Arterial Hypertension
非侵襲的定位放射線治療(SBRT)を用いた肺動脈神経除去が犬モデルでの実現可能性、安全性、および有効性を評価します。
サイバーナイフを使用したSBRTは、平均肺動脈圧、肺毛細血管くさび圧、肺血管抵抗の低下をもたらし、心拍出量の無意味な増加を引き起こしました。
コントロールグループと比較して、サイバーナイフグループでは1ヶ月および6ヶ月時の血清ノルエピネフリンレベルが有意に低かったです。コンピュータ断層撮影(CT)、肺動脈造影、および組織学分析は、SBRTが最小限の側方損傷と関連していることを明らかにしました
Noninvasive Stereotactic Radiotherapy for PADN in an Acute Canine Model of Pulmonary Arterial Hypertension
有意に肺高血圧は改善していそうです。
まとめ
pulmonary artery denervatioについての論文を読みました
肺高血圧も簡単にまとめています
pulmonary artery denervation結構効果ありそうやん・・・
今回調べた論文は、あくまで犬を対象にしたものになっていますが、低侵襲でgainが大きい可能性があるなら,ヒトにも応用していけそうな気がします
難治のPAHの光明になればいいですね
以上参考になれば幸いです。
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