大動脈弁狭窄症の治療としてTAVRが最近は話題だけど超音波による治療も研究されているらしい

健康・減量

大動脈弁といえば最近はTAVR。

経カテーテル大動脈弁置換術のことですが、歴史は結構浅い。

2002年に世界で初めてTAVRが実施。

この手術は、高リスクの患者に対する画期的な治療法として注目されました。

当初は高リスクまたは手術不能な患者に限定されていたTAVRですが、その後、中等度リスクの患者にも適用が広がりました。低リスクの患者に対するTAVRの有効性に関する研究も進んでいます。

開胸手術に適さない患者においては、TAVRが好ましい選択とされており主要な選択肢の一つとなっています。

開胸せずとも大動脈弁狭窄症の治療ができるようになったことで画期的な治療と話題になりましたね

ここ十年くらいの話であり、まだ遠隔期のデータは出ていないけど、そこそこ流行っていそうな感じはしてます

そんな中、超音波で大動脈弁狭窄を治療する論文がありました。

超音波すごいな

ということで、ちょっと調べてみました。

大動脈弁狭窄症とは

大動脈弁狭窄症(AS)は、心臓の大動脈弁が狭くなり、血液の流れが阻害される状態です。この病気の進行に伴い、心臓はより多くの労力を使って血液を全身に送り出す必要があります。初期段階では症状がないことが多いですが、病気が進行するとさまざまな症状が現れ始めます。

症状

  • 胸痛
  • 呼吸困難
  • 疲労感
  • めまい
  • 失神
  • 心臓の不整脈

治療

  • 薬物療法 
  • 大動脈弁置換術:損傷した弁を人工弁または生体弁で置換する手術です。
  • 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR):より侵襲性の低い手術で、カテーテルを用いて新しい弁を挿入します。
  • 非侵襲的治療:新しい研究では、非侵襲的な超音波治療が大動脈弁狭窄症に効果的である可能性が示されています。

TAVRは上記に記載しています、最近少しHOTな治療です。

超音波治療の原理は何なのか?

大動脈弁以外にも超音波治療はあるので、気になったので先に調べてみます。

超音波治療について

超音波を使った治療とは、音波のエネルギーを用いて体内の特定の部位を治療する方法です。

この方法は、物理療法や特定の医療手術で使用されています。超音波治療にはいくつかの異なる形態がありますが、一般的には以下のようなものがあります。

熱療法:超音波の熱エネルギーを利用して、筋肉の深部や組織を温め、血流を改善し、痛みを和らげる効果があります。この方法は、筋肉の緊張や痛みを和らげるのに役立ちます。

キャビテーション:超音波によって体内で小さな気泡を生成し、それが破裂する際に発生する衝撃波を利用する方法です。この方法は、組織の回復を促進したり、石灰化した組織を分解するのに用いられます。

フォーカスド・ウルトラサウンド:非常に高いエネルギーを持つ超音波を特定の体内部位に集中させる方法です。これにより、特定の組織を破壊することなく、体内の深部にある組織や腫瘍を治療することが可能です。

具体的にはどのような疾患に使うのか?

  1. 筋肉の痛みや緊張:筋肉の緊張や筋肉痛、慢性的な痛みなどに対して、超音波治療は筋肉を深部から温め、血流を改善し、筋肉のリラクゼーションを促進することで痛みを軽減します。
  2. 関節炎:関節炎や腱炎などの炎症を持つ組織に対して、超音波治療は炎症を軽減し、痛みを和らげる効果があります。
  3. 軟部組織損傷:捻挫、筋肉の断裂、靭帯損傷など、軟部組織の損傷の回復を助けるために超音波治療が利用されることがあります。
  4. 骨折の治癒促進:骨折の治癒過程を加速させるために、低強度の超音波治療が用いられることがあります。
  5. 石灰化した組織の分解:肩などの関節における石灰化腱炎に対して、超音波治療は石灰化した組織を分解し、痛みを軽減する効果があります。
  6. がん治療:フォーカスド・ウルトラサウンドは、特定のがん細胞や腫瘍を標的として破壊するために使われることもあります。

ていう論文を見つけました。最近でも日本でも論文がありました。

前立腺がんの治療におけるフォーカスド・ウルトラサウンド(Focused Ultrasound、FUS)は、非侵襲的な治療法の一つとして注目されています。

この方法は、高強度集束超音波(High-Intensity Focused Ultrasound、HIFU)とも呼ばれ、前立腺がん細胞を破壊するために高エネルギーの超音波を使用します。

  • エネルギーの集中: HIFUでは、超音波エネルギーを前立腺に精密に集中させます。これにより、ターゲットとなるがん細胞を高温にし、それらを破壊します。
  • 非侵襲性: 外科手術のように身体を切開することなく、体外から治療が行われます。これにより、回復時間が短縮され、合併症のリスクが低減します。

腫瘍に対する治療は確立していそうですね。

本題に戻ります。

大動脈弁に対する超音波治療の実際

これが最初のstudyですかね。弁の石灰化が問題な大動脈弁狭窄症が対象のようです。

Valvosoft (Cardiawave) は、非侵襲的超音波治療 (NIUT) によって石灰化した大動脈弁 (AV) の機能を改善するように設計されたデバイスらしいです。

NIUT の作用メカニズムは、大動脈弁に焦点を合わせた短い高圧の超音波パルスによって微細なキャビテーション泡を生成することで構成されています。 キャビテーション気泡が崩壊すると、衝撃波が発生し、標的の石灰化した弁尖の機械的軟化を引き起こします。

先ほど上述したメカニズムですね。

開胸もカテーテル挿入もなしの低侵襲ですから驚きですね。

それの続編の論文が最近lancetでpublishされています。

high-risk patients with a mean Society of Thoracic Surgeons score of 5·6% (SD 4·4) and multiple severe comorbidities were included. The primary endpoint, procedure-related mortality, did not occur; furthermore, no life- threatening or cerebrovascular events were reported. Improved valve function was confirmed up to 6 months, reflected by a 10% increase in mean aortic valve area from 0·58 cm2 (SD 0·19) at baseline to 0·64 cm2 (0·21) at follow- up (p=0·0088), and a 7% decrease in mean pressure gradient from 41·9 mm Hg (20·1) to 38·8 mm Hg (17·8; p=0·024). At 6 months, the New York Heart Association score had improved or stabilised in 24 (96%) of 25 patients, and the mean Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire score had improved by 33%, from 48·5 (SD 22·6) to 64·5 (21·0).

Treatment of severe symptomatic aortic valve stenosis using non-invasive ultrasound therapy: a cohort study 

胸部外科医協会の平均スコアが5~6%(SD 4~4)で、複数の重篤な併存疾患を有する高リスク患者40人が含まれた。 主要評価項目である手術関連死亡率は発生しなかった。 さらに、生命を脅かすイベントや脳血管系のイベントは報告されていません。 弁機能の改善は最長 6 か月まで確認され、ベースライン時の 0.58 cm2 (SD 0.19) から追跡調査時の 0.64 cm2 (0.21) への平均大動脈弁面積の 10% 増加に反映されました。 =0.0088)、平均圧力勾配は 41.9 mm Hg (20.1) から 38.8 mm Hg (17.8; p=0.024) に 7% 減少しました。 6か月後、ニューヨーク心臓協会のスコアは患者25人中24人(96%)で改善または安定し、カンザスシティ心筋症アンケートの平均スコアは48・5(SD 22・6)から64・5(SD 21.0)まで33%改善した。

ハイリスク群で手術もできないような高いリスクの方には効果はありそうですね。

サンプルサイズが少ないがlimitationとしてありますので、今後はN数を増やして再度調べていくと思いますが、NYHAのスコアも96%で改善しているかなり良さそうには思います。

まとめ

大動脈狭窄症に対する超音波治療についてまとめました。

TAVIも話題になっていましたが、これは今後どうなるのでしょうか?

石灰化した弁しか効果がないのですかね?

考察にありますが、二尖弁を持つ 2 人の患者は反応良好のようです。

もし小児期からの二尖弁にも効果があり、手術を遅らせる、または回避ができたらさらに画期的な気がしますが。

超音波治療自体は大動脈弁以外でもやっており特に腫瘍の領域では使われているようです。

以上参考になれば幸いです。

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