食道異物に対するコカコーラの有用性という論文を読んだ感想

健康・減量

定期的に面白い論文や目立った論文がメーリングリストから送られているようにしているのですが、今回はコカコーラの論文が気になりましたね。

そもそも普通の炭酸飲料水と思っていましたが食塊と関係あるんかいな、と思いました。

私はコカコーラをあまり飲みませんが、日本でも好きな方は多い印象です。

そもそもコカコーラとはなんなのか?も知らん。

健康にいいのか? 子どもの頃は骨が溶けるって言われたな笑

なぜ医療で使われたのか。

よく分かってないので調べてみました。

コーラってなんなん?

「コーラ」とは、炭酸飲料の一種です。通常、カフェイン、砂糖(または人工甘味料)、そして特有の風味を持つ成分から作られています。コーラの色は通常暗褐色で、味は甘くて少しスパイシーな感じが特徴です。

カフェインが入っている。軽いエナジードリンクみたいなもん。

コカはコカインのコカ?

「コカ」という言葉は、確かにコカインの原料となるコカ植物を指します。しかし、コカ・コーラの名前における「コカ」とは、その歴史的な成分に由来しています。

コカ・コーラは1886年にアメリカで開発されました。当初のレシピにはコカの葉から抽出した成分が含まれていましたが、これはコカインの微量含有量を含んでいたとされています。

1904年ごろには、コカ・コーラはコカの葉からコカインを取り除く工程を導入しました。現代のコカ・コーラにはコカインは含まれておらず、コカの葉の風味だけが使用されています。

現代のコカ・コーラにはコカインは含まれていないことが重要です。

本当かわからないですが、Wikipediaにも載ってましたので、概ね事実と思います。

コカインとカフェイン使ってたとすると超エナジードリンクやな。

むしろ薬やったとの記載をみた。

コーラは頭痛、神経痛、さらには依存症や消化不良などの治療に用いられていたとされています。

コーラって健康にいいの?

コーラを含む炭酸飲料は、一般的に「健康飲料」とは見なされていません。

以下はコーラの健康への影響に関連するいくつかの主要な点です:

高糖分: 多くのコーラには高い糖分が含まれています。過剰な糖分摂取は肥満、2型糖尿病、心臓病、歯科問題など、さまざまな健康問題のリスクを高める可能性があります。

カフェイン: コーラに含まれるカフェインは、過剰摂取すると不安、不眠、心拍数の増加などの問題を引き起こす可能性があります。しかし、適量であれば、カフェインは一時的な集中力や覚醒度の向上に寄与することもあります。

酸性: コーラは酸性が高く、これが歯のエナメル質の浸食や胃腸の問題を引き起こす可能性があります。

人工甘味料: いくつかのダイエットコーラには人工甘味料が使用されています。これらの甘味料はカロリーは低いものの、過剰摂取は消化器系の問題や、一部の研究では体重増加や代謝症候群のリスク増加と関連していることが示唆されています。

健康には良くなさそう。

コーラの高い酸性度の影響

歯の健康への影響

エナメル質の浸食: コーラに含まれる酸(通常はリン酸や炭酸)は、歯のエナメル質を弱めることがあります。エナメル質は歯の最も外側にある硬い層で、歯を保護しています。酸性の飲料を頻繁に摂取すると、このエナメル質が浸食され、歯が虫歯や感染のリスクにさらされやすくなります。

歯の着色: また、コーラの色素は歯の表面に着色を残す可能性があります。特にエナメル質が弱まっている場合、色素が歯に染み込みやすくなります。

胃腸への影響

胃酸の増加: コーラの酸性度は胃のpHバランスに影響を与え、胃酸の過剰分泌を引き起こすことがあります。これは、胃の不快感や胸焼け、逆流性食道炎などの症状を引き起こす可能性があります。

消化器系の刺激: 一部の人々は、特に空腹時に酸性の高い飲料を摂取すると、胃や腸に不快感や刺激を感じることがあります。

コーラと異物除去について

ここからが本題ですね。

コーラと食道異物の関係については、一部の研究で注目されている特定の状況があります。具体的には、コーラが食道に詰まった小さな硬い異物(例えば、魚の骨)を溶解するのに役立つ可能性があるというものです。酸性と炭酸: コーラに含まれる酸性(主にリン酸)と炭酸が、食道に詰まった異物の溶解や分解を助けることがあります。これは、特に小さな骨片や硬い食物の破片に有効であると考えられています。

あくまで症例レポート程度でしょう。

他にコーラで胃石を除去するケースレポートがあるけど、胃石って何なんですかね。

胃石って何?

石、または「ベゾア」は、消化管内に形成される異常な塊のことです。

これらは、通常、人間が飲食する物質から形成されるもので、特に胃内で見られます。

ベゾアは、その構成成分に基づいていくつかのタイプに分類されます。

ファイトベゾア: 植物性の繊維(例えば、果物や野菜の繊維)から形成されます。これは、特に繊維質の食物を多く摂取する人々に見られることがあります。

トリコベゾア: 髪の毛から形成されるベゾアで、しばしばトリコチロマニア(髪を引っ張る衝動)を持つ人々に見られます。

ファーマコベゾア: 薬剤やその他の医薬品の粒子から形成されるベゾアです。

ベゾアは、消化管の閉塞を引き起こしたり、痛みや消化不良などの症状を引き起こすことがあります。その治療には、ベゾアの物理的除去(例えば、内視鏡による手術)、特定の化学物質による分解(たとえば、コーラのような酸性飲料によるファイトベゾアの分解)、または場合によっては手術が必要になることがあります。

ベゾアとか初めて聞いたわ。

医療者みんな知ってるんか? 私が不学なのか?

コーラで胃石を除去する論文

Over a 10-year period (2002–2012), 24 papers including 46 patients have been published. In 91.3% of the cases, phytobezoar resolution with Coca-Cola administration was successful, either as a single treatment (50%) or combined with further endoscopic techniques, whereas only 4 patients underwent surgery. Phytobezoars were more likely to dissolve after initial attempt with Coca-Cola compared with diospyrobezoars (60.6% vs. 23%, P = 0.022).

Systematic review: Coca-Cola can effectively dissolve gastric phytobezoars as a first-line treatment

10 年間 (2002 年から 2012 年) にわたって、46 人の患者を含む 24 件の論文が発表されました。 症例の91.3%において、コカ・コーラ投与による植物性胃石の消散は、単独治療(50%)またはさらなる内視鏡技術との併用により成功したが、手術を受けた患者はわずか4名であった。 植物性胃石は、ジオスピロ胃石と比較して、コカ・コーラでの最初の試み後に溶解する可能性が高かった(60.6% vs. 23%、P = 0.022)。

胃石には意外と効いていそうな結果。笑

次は本題の論文。

Efficacy of cola ingestion for oesophageal food bolus impaction

Cola did not have a meaningful effect on the improvement of food bolus obstruction (17/28 (61%) intervention 14/23 (61%) control; odds ratio 1.00, 95% confidence interval 0.33 to 3.1; relative risk reduction 0.0, 95% confidence interval −0.55 to 0.36; P>0.99). Complete passage was reported more often in the intervention group but this difference was not significant (12/28 (43%) intervention 8/23 (35%) control; odds ratio 1.4 (0.45 to 4.4); relative risk reduction −0.23 (−1.5 to 0.39); P=0.58). No severe adverse events occurred. However, six (21%) patients in the intervention group experienced temporary discomfort after drinking cola. 

Efficacy of cola ingestion for oesophageal food bolus impaction: open label, multicentre, randomised controlled trial

コーラは食塊閉塞の改善に有意な効果を示さなかった(介入17/28(61%)対対照14/23(61%);オッズ比1.00、95%信頼区間0.33~3.1;相対リスク低減0.0、 95% 信頼区間 -0.55 ~ 0.36; P>0.99)。 完全通過は介入群でより頻繁に報告されましたが、この差は有意ではありませんでした(12/28(43%)介入vs 8/23(35%)対照;オッズ比1.4(0.45対4.4);相対リスク減少-0.23( -1.5 ~ 0.39)、P=0.58)。 重篤な有害事象は発生しませんでした。 しかし、介入グループの6人(21%)の患者は、コーラを飲んだ後に一時的な不快感を経験しました。

食塊には効果は乏しそう。

まとめ

コカコーラについて気になる論文についてまとめました。

流石に食塊はきついかなと思いましたが、胃石は意外と効果あるんですね。

調べてないですが魚の骨をコーラで溶かすっていう自由研究がありました。

即効性はなさそうです。

食道異物はそりゃ早くとった方がいいので、救急での応用はないと思います。

子どもの自由研究でやってみようかな。

ペプシとコカコーラでの魚骨の溶け具合の差とかやってみてもいいかも。

このようにコーラなどありふれた物で行う臨床試験は趣がありますし、我々の身近にも意外と使えるものがあるかと思うと楽しいですね。

以上参考になれば幸いです。

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